今週の一枚

ハワイから見上げる七夕星

ハワイから見上げる七夕星

都市の明かりの影響を受けない暗い空に立ちのぼる、見事な天の川。すばる望遠鏡をはじめ世界中の観測所が集まるハワイ島・マウナケア山、その中腹の素晴らしい夜空です。画面の上の方に輝く三つの明るい星は夏の大三角。ですが、日本で見上げるのとは何かが違います。そう、これは北の空。日本では天頂から南側の空にかけて広がる七夕の星ぼしも、緯度が低く赤道に近いハワイでは、頭の上を北側に越えて、反対の空にあおぎ見ることになるのです。

北緯20度から見る北極星

この写真は、マウナケア山から北の空を切り取った一枚です。正面やや左、山の稜線すれすれに輝いているのが北極星。北緯20度付近のハワイ島では、日本に比べてずっと低いところに見えます。正面やや右の同じく地平線付近では、天の川の流れの中、山の端にたなびく雲の上にカシオペヤ座が見え隠れ。

日本からとは表情の違う大三角

見上げていくと、画面中央、天の川の流れの中ほどにはくちょう座のデネブが見つかります。左手、天の川西岸にひときわ明るいのがこと座のベガ。日本では南側の中天に見えるわし座のアルタイルが、ここではほぼ真上に輝きます。なじみ深い七夕の主役たちも、所変わると違った表情に見えますね。

七夕星の見える季節

現在の暦における7月7日は、まだ梅雨の明けない地域も多い、星祭りには不向きな時期。明治以前に使われていた暦では今の8月中に訪れました。国立天文台は、2001年よりこの太陰太陽暦での7月7日に近い日を「伝統的七夕」として夜空に親しむことを呼びかけています。2014年は8月2日がその日に当たります。

文:内藤誠一郎(天文情報センター)