今週の一枚

アルマ望遠鏡超伝導受信機カートリッジ

アルマ望遠鏡超伝導受信機カートリッジ

アルマ望遠鏡向けに国立天文台が開発した3種類の超伝導受信機です。アルマ望遠鏡では観測する電波を10の周波数帯(バンド)に分け、それぞれに対応する専用の受信機を各国で開発しました。日本はバンド4(受信周波数 125~163 ギガヘルツ)、バンド8(385~500 ギガヘルツ)、バンド10(787~950 ギガヘルツ)の3種類を分担し、国立天文台先端技術センターが中心となって開発・量産を行いました。この写真はチリへの出荷前に、3バンド勢揃いの様子を撮影したものです(左からバンド4、8、10)。

受信機は、パラボラアンテナで集められた電波を電気信号に変換する装置で、アンテナの「首」の部分に搭載されています。電波望遠鏡を人間の目に例えると、パラボラアンテナは水晶体に、受信機は網膜細胞に相当します。アルマ望遠鏡の受信機は、超伝導素材の開発や微細金属加工など様々な最先端テクノロジーの結晶でもあります。 アルマ望遠鏡では、66台すべてのアンテナに各周波数帯の受信機が搭載されます。つまり国立天文台では、66台×3バンド=198台(実際には予備を含めて73×3=219台)の受信機を量産する必要がありました。このような量産は国立天文台としては初めての試みでしたが、様々な経験を持つスタッフが集まることで2013年中にすべての量産が完了しました。量産された受信機は既にチリに送られており、順次アンテナに搭載されています。

(文:平松正顕(チリ観測所))