質問10-1
天体を見るのに適した場所はどこ?
国立天文台には、「○○浜は天体を見るのによい」「△△山では星がたくさん見える」というような、場所についての具体的な情報はありません。しかし、天体を見るのに適しているのはどのような場所なのか、ということについては、以下のようにお答えしています。
太陽や月を除くと、どの天体も非常に弱い光しか発していません。ですから、他に強い光があると、それに邪魔されてしまって、天体の光がたいへん見えづらくなってしまいます。邪魔になる光の代表としては、都市の人工灯火があります。大きな都市は人工の光に溢れています。その光が大気中の塵や水滴に反射されて、地上から空を見ている私たちの目にも届きます。大きな都市で空を見上げたときに、ほとんど星が見えず、空全体が白っぽく見えるのはこのためです。ですから、まず大きな都市から離れることが大切です。
それから、次に大切なのは、すぐ近くに街灯などの人工灯火がない場所を選ぶことです。自分が天体を見る場所に近くに、ひとつだけでも明るい人工灯火があると、やはり空を照らして天体を見えづらくします。また、空を見たときに人工灯火の光が直接目に入ってしまうことも、天体をたいへん見えづらくする原因になります。
固定された人工灯火ばかりでなく、自動車のヘッドライトなども、快適に天体を見ることを妨げます。自動車が近づかないような場所を選ぶというだけでなく、自分が自動車で移動するときにも、他の人に迷惑をかけないように注意しましょう。
また、これは場所についての話題ではありませんが、月は他の天体に比べて桁違いに明るいので、空に月が出ているときは暗い天体を見るのにあまり適していません。特に満月前後の月は、明るいだけでなく、一晩中見えていますので、できれば事前に月の満ち欠けや月の出・月の入りの時刻についても調べておいて、月明かりを避けるようにしたほうがよいでしょう。