月の向きに注目(2021年3月)

西空に見える「上向きの月」
夕方、西空に細い月が見えることがあります。今月(3月)は、13日が新月で、その後15日頃から少しずつ太くなっていく月が、西の空に見えるようになります。このときの月の向き(傾き)にぜひご注目ください。光っている部分が下側になり、まるで寝ているような姿の細い月が見られることでしょう。この月の向きは、季節によってかなり異なります。

春と秋で違う黄道の傾き
月は、厳密には白道という月の通り道に沿って動いていきますが、大まかには黄道に沿って動いていると考えて良いでしょう。春(3月頃)の黄道(太陽の通り道)は、地平線に対しての傾きが大きく、垂直に近い方向となっています。地平線の下の太陽は、月の真下に近い位置にあります。月はこの方向から太陽に照らされていますから、下側が光った、寝ているような姿をした月が見られることになります。 一方、秋(9月頃)の黄道は、地平線に対しての傾きが小さく、真横に近い斜めの方向となっています。地平線の下の太陽は、月に対して右斜め下の位置にあります。月はこの方向から太陽に照らされますので、(地平線を下に見たときの)おもに右側が照らされます。立った姿のような、かなり横を向いた形の月が見られることになります。
まずは、3月の西空の月の向きを観察してみましょう。そして、秋になったらまた月を観察して、その向きの違いを較べてみてはいかがでしょうか。可能ならば、撮影して記録しておくと、より比較しやすいことでしょう。
(参照)暦計算室ウェブサイト:国立天文台暦計算室の「こよみの計算」では、各地の日の出入り時刻、月の出入り時刻などを調べることができます。月の見え方は、「今日のほしぞら」で調べることができます。暦wikiの「季節と黄道の傾き」では、春と秋の夕方に加えて、明け方や、夏と冬の黄道の傾きの違いについても解説しています。