ふたご座流星群が極大(2017年12月)

寒さ対策を万全にして流星を眺めよう
2017年のふたご座流星群は、比較的良い条件で観察することができます。
今年のふたご座流星群の活動は12月14日16時頃に極大(注)を迎えると予想されています。しかし、その時刻は日本が昼間のため、流星を観察することはできません。日本でいちばんの見頃となるのは、極大を迎える前の、14日の0時過ぎを中心とした数時間だと考えられます(13日の夜だということに注意)。
また、この前日の夜と翌日の夜も流星群の活動が活発で、多くの流星を楽しむことができるでしょう。
空の暗い場所で観察すれば、最も多いときで1時間あたり40個程度の流星を見ることができると予想されます。
流星は特定の方角だけに出現するわけではありません。空の広い範囲を眺めましょう。
たいへん寒い季節ですので、寒さ対策をしっかりおこなって観察してください。
注 流星群の活動における「極大」とは、観察場所や時刻、月の条件などは考慮せず、流星群自体の活動が最も活発になること、またはその時期をいう。 本文へ戻る
キャンペーン

国立天文台では、ふたご座流星群を多くの方に楽しんでいただくために、「ふたご座流星群を眺めよう 2017」キャンペーンをおこないます。キャンペーンについての詳しい情報は、キャンペーンサイトをご覧ください。
ふたご座流星群についてのさらに詳しい情報は、以下をご覧ください。
ふたご座流星群とは
ふたご座流星群は、毎年12月14日頃を中心に活動している流星群です。
特徴のひとつは、毎年ほぼ確実に、たくさんの流星が出現することです。流星数が多いことから、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と共に「三大流星群」と呼ばれています。夜空の暗い場所で活動が極大の頃に観察すれば、最も多いときで1時間あたり40個以上の流星を見ることができます。
もうひとつの特徴は、夜半前からほぼ一晩中流星が出現することです。三大流星群のうちペルセウス座流星群としぶんぎ座流星群は、どちらも夜半から未明の時間帯を中心に流星が出現します。しかし、ふたご座流星群は20時頃という早い時刻から流星が出現し始めるため、お子さんをはじめ多くの方々にとって観察しやすい流星群です。
このように、ふたご座流星群は、流星を初めて見てみようという人にもおすすめしたい流星群です。
ふたご座流星群を観察するために
今年のふたご座流星群を観察するのに役立つ情報をまとめました。
観察に適した時期
観察に適した日
12月13日から14日にかけての夜に最も多くの流星が見られそうです。
その前日の夜、翌日の夜にも、ある程度の数の流星が出現すると考えられます。
2017年のふたご座流星群の極大は、日本時間の12月14日16時頃と予想されています。しかし、その時刻は日本が昼間のため、流星を観察することはできません。日本でふたご座流星群が最も見頃となるのは、極大を迎える前の夜である、14日の0時過ぎ(13日の夜)前後の数時間だと考えられます。
また、その前日の夜、翌日の夜にも、ある程度の数の流星を楽しむことができるでしょう。
ただ、いつ晴れるかはわかりませんし、予想外のタイミングで流星が活発に出現する可能性もあります。上記の予想にあまりとらわれず、なるべく長い時間、そして長い期間観察を続けてみてください。長く観察すれば、それだけ流星を見るチャンスが増えることになります。
ふたご座流星群の全活動期間はさらに長く、12月4日頃から17日頃まで続くと考えられています。ただし、出現する流星の数は、極大から日が離れるほど少なくなります。
観察に適した時間帯
なるべく、22時頃から未明までの間に観察するのがよいでしょう。
(流星群自体の活動が一定であれば)流星群の放射点の高度が高いほど多くの流星が出現します。
ふたご座流星群の場合、20時頃から流星が出現し始めます。しばらく観察を続ければ、いくつかの流星を見ることができるでしょう。しかし、このころはまだ放射点があまり高くないため、本格的な出現ではありません。
22時頃から本格的に流星が現れ始め、未明まで流星の出現が続くと考えられます。
放射点の高度が最も高くなるのは2時頃です。
月明かりの影響
月の影響はほとんどありません。
今年は、12月10日が下弦、18日が新月です。そのため、極大に近い期間には月の出ている時間帯があります。しかし、月が細いためあまり明るくありませんし、姿を見せるのが明け方近くのため、流星観察への影響はほとんどないでしょう。
月の出入り時刻は、国立天文台暦計算室の「こよみの計算(CGI版)」で調べることができます。
参照:国立天文台 暦計算室
見える流星の数
夜空が十分に暗い場所で観察すれば、最も多いときには、1時間当たり40個程度の流星を見ることができると考えられます。
これは、(月が出ていなければ肉眼で5.5等星まで見えるような)夜空が十分に暗い場所で観察した場合を想定しています。
街明かりの中で観察したり、極大ではない時期に観察したりした場合には、見ることのできる流星の数が何分の1かに減ってしまうことがあります。反対に、目のよい方や、流星観測の熟練者が観察した場合には、2倍以上の数の流星を観察できることがあります。
観察に適した方向と流星の見分け方
どちらを向いて観察しても構いません。空の広い範囲を見渡しましょう。

流星群の流星はある一点を中心に放射状に出現します。中心となる点を「放射点」といいます。
ふたご座流星群の場合は、ふたご座の中で特に明るい2つの星のひとつ、カストルのすぐ近くにあります。
しかしこれは、放射点のあるふたご座付近だけに流星が出現するということではありません。流星は夜空のどこにでも現れます。例えば、放射点とは反対の方向を見ていても、平均すれば、放射点の方向を見たときと同じ数の流星を見ることができます。
ですから、放射点の方向にはあまりこだわらず、空の広い範囲に注意を向けるようにしましょう。空をより広く見渡しているほうが、より多くの流星をとらえられる可能性が高くなります。
ふたご座流星群が活動する期間にも、ふたご座流星群以外の流星が出現します。
ふたご座流星群の流星かどうかは、流星の軌跡を反対の方向にたどり、ふたご座流星群の放射点を通るかどうかで判断します。 放射点を通らなければふたご座流星群の流星ではありません。放射点を通れば、ふたご座流星群の流星である可能性が高いと考えることができます。
放射点との位置関係によって、流星の軌跡の長さは違ってきます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために流星の軌跡は短くなります。一方、放射点から離れた方向では、流星の軌跡を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多くなります。
詳しい見分け方は、キャンペーンサイトの「流星の見分け方」(ふたご座流星群を眺めよう 2015)をご覧ください。
観察に適した場所
空をなるべく広く見渡すことができ、街灯などが少ない場所で観察しましょう。
林の中のように空があまり見渡せない場所や、ベランダのように空の一部しか見えない場所では、空全体に現れる流星をとらえきれません。なるべく視界を遮るものが少なく、空を広く見渡せる場所を探してください。
また、できるだけ、街灯など人工の明かりが少ない場所を選びましょう。流星の光は、街灯の明かりなどに比べるととても弱いものです。明かりが多いと、その明るさに妨げられて暗い流星が見づらくなり、それだけ、見ることのできる流星の数が少なくなってしまいます。
大きな都市やその周辺地域では、都市全体の明るさに妨げられ、暗い流星を見ることができません。大きな都市からはなるべく遠く離れた場所で観察できるとなおよいでしょう。
観察の際の注意
- 望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で観察しましょう。望遠鏡や双眼鏡を使うと視野がたいへん狭くなってしまうため、流星の観察には適しません。
- 立ったままで長い時間観察をすると疲れます。レジャーシートなどを用意して、寝転がったまま観察できるよう準備をしておくとよいでしょう。
- 屋外に出てから暗さに目が慣れるまで、最低でも15分間は観察を続けるようにしましょう。
- 夜遅く屋外で行動することになりますので、事故などに十分注意してください。
- 人家の近くで大声を出したり、立入禁止の場所に入ったりしないよう、マナーを守ってください。
流星の動画
2014年12月14日の深夜に撮影した動画です。ふたご座流星群の流星を約3分間に7個とらえました。ビックリするような明るい流星も出現しています。
母天体
母天体は、フェートン(3200 Phaethon、ファエトンとも呼ばれる)だと言われています。フェートンは1.43年の公転周期を持つ近地球小惑星の一つです。
フェートンは複数の回帰において近日点付近で少量の物質放出が見られることから活動的小惑星に分類され、軌道からふたご座流星群の母天体と考えられています。一般に流星群は彗星活動により放出されたダスト(ちり)が起源だと考えられており、フェートンは過去に大量のダストを放出していたと推定されています。そのため、フェートンは彗星と小惑星の中間的な特徴を持つ過渡的な天体である可能性が高いといわれています。しかし、このような過渡的な天体の起源や物質進化についてはよくわかっていません。
現在計画中の深宇宙探査技術実証機Destiny+でフェートンのフライバイ探査が計画されています。
深宇宙探査技術実証機Destiny+(千葉工業大学 惑星探査研究センター)
2017年12月のフェートンの観測条件
フェートンは日本時間2017年12月17日に地球から0.069 au(auは「天文単位」、0.069auは約1000万キロメートル)まで接近することから、10等級台にまで明るくなると予想されています。フェートンは公転周期が1.43年と比較的短く、地球軌道の近くを通過することから、定期的に地球から明るく見えるのですが、2010年から2100年の間で11等級よりも明るくなると予想されているのは2017年と2093年の2回のみです。特に2017年は、フェートンが最も明るい時期に夜に昇ってくるため、小型望遠鏡でも観測が可能になる非常に貴重な機会です。そのため、2017年12月には世界中の小惑星の研究者やアマチュアによる観測キャンペーンが計画されています。国立天文台では、天文情報センターの特別客員研究員の新中善晴らを中心に、フェートンが地球に最接近する12月に50センチ公開望遠鏡での偏光撮像観測を計画しています。


フェートンの観測画像

参考情報
- 流星群とは
- 流星群とはどのような現象かを解説しています。
- ふたご座流星群
- ふたご座流星群についての一般的な解説です。
- 流星群の解説動画
-
- パオナビ(全国プラネタリウム&公開天文台情報)
- 全国のプラネタリウム・公開天文台などの施設検索や、イベント情報の予定を集めているウェブサイトです。流星群関係のイベント情報が掲載されることもあります。
- 日本流星研究会
- 主要な流星群についての詳しい情報が掲載されています。(各流星群の過去の出現状況は「リンク集」>「流星の部屋」>「主要流星群 出現状況」をご覧ください。)
- International Meteor Organization(英文)
- 流星観測の情報や観測結果の集計がまとめられています。
- 2016年のふたご座流星群の集計(英文)
- 2016年のふたご座流星群の観測結果を見ることができます。
- 天文現象特集・キャンペーン一覧
- これまでの、天文現象の特集ページや国立天文台が実施したキャンペーンの一覧です。