ほしぞら情報 2012年3月
目次
東京の星空(2012年3月中旬午後8時頃)

カレンダー(3月)
1日 | 上弦 |
4日 | 火星が衝 |
5日 | 水星が東方最大離角 / 啓蟄(太陽黄経345度) |
6日 | 火星が地球最近 |
8日 | 満月 |
12日 | 水星が留 |
15日 | 下弦 |
20日 | 春分の日 / 春分(太陽黄経0度) |
惑星
- 水星
- 3月5日に東方最大離角となり、3月上旬は日の入り直後の西の低い空で見つけやすい。3月上旬の明るさはマイナス0.4~0.6等。
- 金星
- 日の入り直後の西の空に見える。マイナス4.2~マイナス4.4等とたいへん明るく、すぐに見つけることができる。
- 火星
- しし座にあり、明るさはマイナス1.2~マイナス0.7等。日の入り後、東の空に見えている。3月4日に衝、6日に地球と最接近(距離:1億0078万km)となる。観望の好機!
- 木星
- おひつじ座にあり、明るさはマイナス2.2~マイナス2.1等。日の入り直後の西の空に見える。下旬になるにつれて、どんどん低い位置に見えるようになる。
- 土星
- おとめ座にあり、明るさは0.4~0.3等。東京では月初めは21時半頃、月末には19時半頃に東から昇る。
参照:暦計算室ウェブサイト
- 「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)を簡単に調べることができます
- 「こよみ用語解説」の「天象」の項では、最大離角、衝、合、留などの惑星現象の用語について解説しています
トピックス
夕方の空の惑星を見よう

日が暮れてすぐの西の空には、金星と木星が見えています。金星はマイナス4.2~マイナス4.4等、木星はマイナス2.2~2.1等と非常に明るいので、 夕焼けの残る空でも、とてもよく目立っています。
3月の宵空では、この2つの惑星が日々位置を変えていく様子を見ることができます。特に木星は3月下旬に向けて急激に高度が下がり、金星との位置関係がどんどん変わっていきます。3月上旬、木星は金星よりも空の高いところにありますが、3月中旬には金星とほぼ同じ高さとなり、さらに3月下旬には金星よりも低い位置へと移動します。特に13日、14日には金星と木星が3度まで接近し、とても美しい眺めとなります。
3月上旬は、金星、木星よりも低い位置に水星が見えています。水星は、3月5日に東方最大離角となり、この日の前後は夕方の西の空で見つけやすくなります。ただし、日の入り30分後の水星の高度が10度ほどですぐに沈んでしまうので、観察できる時間はわずかです。肉眼で見つけにくい場合は、双眼鏡を使って探してみても良いでしょう。

3月下旬は、木星と金星の近くを細い月が通り過ぎていく様子を観察することができます。明るい惑星と月の接近はとても美しく、見ごたえがありますので、ぜひ観察してみてください。月は25日に木星の少し下側に見え、26日には金星と木星の間に見えます。そして、27日に金星に近づき、その後、離れていきます。特に26日は金星、月、木星がほぼ等間隔で縦一列に並び、とても美しい光景になるでしょう。
しし座を移動する火星を見よう

日が暮れてあたりが暗くなってきた頃、東の空から赤く輝く火星が昇ってきています。火星はしし座の1等星・レグルスの近くに見えています。赤く輝く火星と白いレグルスは色の対比が美しく、ひときわ目を引きます。
火星は地球のひとつ外側にある惑星で、約2年2カ月毎に地球に接近します。そして今回は、3月6日に、火星が地球に最接近となります。
太陽のまわりを地球は約365日で、火星は約687日で1周しています。このため、地球は火星を追い越してひとまわりしてから、また火星に追いつくということを約780日(約2年2カ月)の周期で繰り返しています(会合周期)。地球の軌道はかなり円に近いのですが、火星の軌道は少しつぶれた楕円形をしています。また、会合周期がちょうど2年ではなく2年2カ月であるため、火星と地球が接近する位置は毎回ずれていきます。そのため地球と火星の距離は、接近のたびに大きく変わります。最も近い位置での接近だと地球と火星の距離は5500万km程度となりますが、今回は最も遠いあたりでの接近となります。今回の地球と火星の距離は1億0078万kmですので、最も近い時と比べて2倍ほど遠い距離となります(図参照)。2003年の接近では火星の視直径(見かけの直径)は25.1秒角ありましたが、今回は13.9秒角と、かなり小さく見えます。火星の接近というと、最接近の日ばかりが話題になりますが、最接近前後の数週間は、地球と火星はほとんど同じ方向に並んで進んでいるため、しばらくは地球と火星の距離はあまり変わりません。

3月から4月にかけて、星空の中での火星の動きに注目してください。地球が火星に追いつき追い越すため、火星の動きの向きが変わる様子を観察できます。3月上旬にはしし座の後ろ足の近くにあった火星が、西のレグルスの方へどんどん移動していきます(逆行)。そして、4月15日を境に火星は向きを変え(留)、以後は徐々にレグルスから離れて東に移動していきます(順行)。
- 順行:背景の星空に対して惑星が西から東に動いて見える運動
- 逆行:順行とは逆向きに、背景の星空に対して惑星が東から西に動いて見える運動
- 留(りゅう):順行から逆行、または逆行から順行に移る際に、惑星の運動が止まって見えること
3月6日から8日にかけて、火星のあるしし座の近くを満月前後の明るい月が通り過ぎていく様子を観察することができます。暗い星は月明かりにかき消されてしまいますが、赤く輝く火星は月明かりの中でもくっきりと目立っていることでしょう。