
のんびり自分のペースで。もう一度挑戦したいのは南極
野辺山宇宙電波観測所
事務室 庶務係 主任
山藤康人
Yasuto Yamafuji
野辺山へ来て1年。のんびりとやっています
野辺山宇宙電波観測所へ異動したのが2023年8月なので、ちょうど1年たったところです。ぼちぼち楽しんでいます。夏はエアコンがいらないくらい涼しいですけど、冬は寒いですよね。雪はそんなに降らないよとは言われましたが、朝、出勤するときに車の上に30cmぐらい積もっているとぞっとしますよ。野辺山宇宙電波観測所はもう40年ぐらいたっている落ち着ききった観測所なので、定常的なメニューをこなすという感じで、それほど忙しくはないです。でも草刈りなんかもやったりして、これは野辺山ならではですかね。私はどちらかというと、のんびりと時間を過ごしたい方なので、野辺山の環境は良いですね。ここへ来てから1月に野良猫を引き取りました。掃除にロボット掃除機を使っているのですが、猫がそれにちょっかい出して充電できないようにしちゃうのですよ。しょうがないから充電器ごと別の部屋に置いてあって、リビングを掃除する時は自分で持ってこないといけない。自動で掃除できない状態です。


チリ観測所に5年。おいしかったものとか思い出します
野辺山宇宙電波観測所へ来る前はチリ観測所に5年4カ月いましたが、良い人ばかりで、楽しかったです。仕事の内容はやはり事務で、のんびりと。ちょうどコロナ禍で、割と余裕を持ってきっちりとやっていた感じです。チリは公用語がスペイン語なのですが、あまり勉強しなかったので、使えないまま帰って来ちゃいました。仕事は英語ですし、メール等は翻訳ソフトウェアでなんとかなる。スーパーはセルフレジがあるので会話をしなくても良いし。ただ、レストランのメニューに出てくる食材名だけはスペイン語をすぐ覚えました。でないと何が出てくるのかわからないので。Uber Eatsもよく使っていました。チリの料理は意外とおいしくて、今でもいくつか思い出します。ピスコという蒸留酒があって、それもおいしかったですね。スーパーでよく買っていました。自炊もしていました。当時、借りていた家がとっても広くて、キッチンも充実していてオーブンがついていたので、お肉を焼いたり……。多分、人生であんなに広い家はもう二度と住めないかな。

面白そうなところを求めて。国立天文台はリベンジ採用
大学のときは数学をやっていて、勉強は本当に楽しかったですね。でも数学を生かすのであれば、研究者になるしか道はなかったと思いますが、それは選びませんでした。それで最初、国立国会図書館が面白そうだなと思って、公務員試験の勉強をして採用試験を受けたのですが、最終面接で落ちてしまって。同時に受けていたのが、国立天文台を含めた国立大学法人等職員採用試験。一次はまとまった共通の試験で 、二次からは各機関に分かれて受験するという形になっていて。東工大(旧東京工業大学)や電通大(電気通信大学)を受けたのですが、でももっと面白そうなところもないかなと思って。海洋大(東京海洋大学)とか国立天文台なんか、面白いことやっているかなぁと思って、自然科学研究機構を受けました。でも落ちたのです。それが8月ぐらいで、もう就活のネタも尽きて、また大学に行こうかなとも思ったのですが、もう一度、国立天文台が募集しているのを見つけて、「これで最後」と再度受験して、それで採用となりました。
南極にも挑戦。どうせやるなら楽しいことをやりたい
これまでいくつか異動を経験しましたが、自分から希望を出したのは国立極地研究所だけです。就職して4年過ぎたころ。どうせやるなら楽しいことをやりたいという気持ちがありますし、南極観測隊と言ったら、自分の人生、何かやったなと言う気になれそうで。仕事は南極へ行っても事務関係ですが、出発前の雪山訓練などはやりました。でも極地研に出向した直後に健康診断で引っかかってしまって、日常生活では全く問題ないのですが医師隊員からは不安だと。それでそのときは南極を諦めることに。でも手術をすれば治るものなのでもう一度チャンスがあるなら、今となっては手術してでも行きたいですね。当時、国立天文台に戻ってきて、「山藤さん、まだ南極行かないのですか?」と言われたときは……(笑)。
以前、特別公開の手伝いでVERA小笠原観測局へ行ったことがありましたが、あのときも楽しかった。へき地とか、まあ好きなのですね。仕事でもそういう遊び心があった方が楽しい。定年を迎えて時間ができたら、ゆっくりスーパー銭湯とか温泉とか通って、たくさん本を読みたいですね。

取材日:2024年9月5日/公開日:2024年11月15日
取材・文:臼田雅美/写真:長山省吾
掲載内容は取材時のもの