用語解説
ガンマ線バースト
ガンマ線バーストとは、数十秒程度の短い時間、エネルギーが数百キロ電子ボルトの電磁波(ガンマ線)が宇宙から降り注いでくる現象です。その多くが、遠方宇宙で発生する宇宙最大規模の爆発現象と考えられています。ガンマ線バーストの成因は未だ完全には解明されていませんが、大質量の星がその一生の最後に重力崩壊してブラックホールが形成されるときに発生すると考えられています。
超新星
超新星は大質量の恒星がその一生を終えるときや、白色矮星を含んだ連星が合体する時に起こす大規模な爆発現象です。
Ia 型超新星
超新星の中で、そのスペクトルに水素の吸収線が見られないものを I 型と呼びます。さらに、I 型の中でもケイ素の吸収線が見られるものを Ia 型と呼びます。白色矮星を含む連星系で、白色矮星が伴星から降り積もったガスにより質量が増し、自らの重力による収縮を支えきれなくなり、中心核で核融合反応が暴走し、大爆発を起こすと考えられています。Ia 型超新星は、最も明るくなる時の等級が一定と考えられており、それを使って超新星爆発の起こった銀河までの距離を求めることができます。Ia 型超新星は非常に明るいため、非常に遠くの宇宙論的距離まで使える標準光源として有用です。
すばる望遠鏡
アメリカ合衆国ハワイ島のマウナ・ケア山頂にある国立天文台の口径 8.2m の大型光学赤外線望遠鏡です。現在世界でも最先端の観測装置を備え、共同利用観測装置として国内外の研究者により利用されています。
IRSF 望遠鏡
名古屋大学が、南アフリカ天文台と協力して南アフリカ、サザーランド観測所に建設した口径 1.4m の近赤外線望遠鏡です。専用の赤外線観測装置「SIRIUS」を搭載して J, H, Ks の三つの波長帯域での同時撮像観測が出来、銀河中心やマゼラン雲の研究で成果を発揮しています。
mini TAO 望遠鏡
東京大学天文学教育研究センターが南米チリ共和国・アタカマ地方にある標高 5,600m のチャナントール山頂に建設した口径 1m 赤外線望遠鏡です。チャナントール山頂は晴天率・水蒸気量・シーイングの総合評価において地上で最も赤外線観測に適した場所であることが知られており、効率的な観測が期待されます。
ALMA (Atacama Large Millometer/submillimeter Array)
アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計
アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計
南米チリ共和国・アタカマ地方に国立天文台、ヨーロッパ南天天文台 (ESO)、米国国立電波天文台等が建設中の、次世代大型電波干渉計です。2002 年から建設が始まり、2012 年度に本格運用の開始が予定されています。ミリ波・サブミリ波という波長の短い電波を使って、銀河の形成、星と惑星系の形成、宇宙における物質進化 (有機分子の合成等) などを解き明かすことを主目的とします。
回帰新星
2 回以上の新星爆発が観測された記録のある天体です。爆発の間隔は、数年から数十年以上であり、 T Pyx は、2011 年 4 月に 45 年ぶりにその新星爆発が観側されました。
たて座デルタ型変光星
恒星表面における動径脈動及び非動径脈動によって光度が変化する脈動変光星の一種です。数時間の間隔で~ 0.003 から~ 0.9 等級の範囲で明るさが変動します。
X 線新星
突如として新星のようにX線で輝き出す天体です。ブラックホールや中性子星への間欠的なガスの流入によって起きる現象と考えられています。
激変星
新星、矮新星などの突如として増光する突発天体の総称です。白色矮星と主系列星から成る連星系であり、主系列星から白色矮星へのガスの流入によって起きる現象と考えられています。
新星
新星は白色矮星と主系列星からなる連星系であり、白色矮星表面に主系列星から水素を多く含んだ物質が供給されて核融合爆発を起こす天体です。
矮新星
矮新星は、新星と同じように白色矮星と主系列星からなる連星系ですが、伴星である主系列星からの物質供給量が多く、白色矮星のまわりに形成された降着円盤の不安定性により急激な増光現象を起こす天体です。
かなた望遠鏡
広島大学宇宙科学センター附属東広島天文台の基盤をなす口径 1.5m 光学赤外線望遠鏡です。可視および近赤外線の観測装置を備え、最先端の観測研究のほか、学生の教育実習などに使われています。
京都大学口径 3.8m の光赤外線新技術望遠鏡
国立天文台岡山天体物理観測所の敷地に建設予定の、口径 3.8m の新技術光学赤外線望遠鏡です。主に突発天体や惑星形成領域の観測を目的とします。この望遠鏡は国内初の分割鏡方式を採用し、日本が誇る超精密研削によって主鏡を製作するという技術を世界で初めて採用し、さらにきわめて軽量の架台を使うなど、将来の超巨大 30m 級望遠鏡建設のために必要な基礎技術を実験開発することにもなります。
LSST (Large Synoptic Survey Telescope) 大型シノプティック・サーベイ望遠虚
南米チリのエル・パチョン山に建設が予定されている、口径 8.4m の可視光赤外線望遠鏡です。3.2 ギガピクセルの巨大なカメラを使用し、9.6 平方度という超広視野を持ちます。望遠鏡設置場所から観測できる全ての天域の写真をわずか 3 晩で撮り終えることができ、広視野を活かしたダークエネルギーの分布の解明、未知の太陽系天体の探査、突発天体の観測、および銀河系の掃天観測を行う予定です。アメリカの 22 の大学・研究所・企業が LSST Corporation を結成して建設・運営に当たり、Google と協力して観測データを即時全世界に公開する予定です。
スイフト衛星
宇宙最大の爆発現象「ガンマ線バースト」の正体を探るために、NASA を中心として国際共同で開発された衛星です。日本の JAXA 宇宙科学研究本部は、Key Associate Institute として、埼玉大学、東京大学とともに、検出器チームに参加しており、主検出器 BAT (Burst Alert Telescope) の評価、解析を行っています。