記者発表概要

  • 発表方法: 記者会見
  • 発表日時: 平成23年6月22日 午前9時30分~10時30分(予定)
  • 発表場所: 学士会館320号室
  • 記者会見終了後に発表内容を下記ホームページに掲載します。
    国立天文台ホームページ http://www.nao.ac.jp/
  • 発表者: 観山正見(国立天文台 台長)
  • 共同発表機関:
    自然科学研究機構・国立天文台、北海道大学、東京大学、
    東京工業大学、名古屋大学、京都大学、広島大学、鹿児島大学

事業概要

 北海道大学、東京大学、東京工業大学、名古屋大学、京都大学、広島大学、鹿児島大学の7大学と大学共同利用機関である自然科学研究機構・国立天文台が連携し、日本の大学が国内外に持つ中小口径の望遠鏡を有機的に結びつけて、突発天体等の即時および連続観測により、その物理現象の解明をメインテーマとした最先端共同研究の推進と大学における天文学教育を促進するための事業を平成 23 年度から6年間共同で実施いたします。

 本事業は、突発天体のフォローアップ観測および変光天体の連続モニター観測等、天文学の比較的未開拓な次元である「時間軸」に焦点を当てた斬新な研究を行います。"すばる望遠鏡"や"アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計 (ALMA) "のような大望遠鏡だけでは出来ない種類の最先端研究を行うことにより大学での教育と研究を促進し、広い視野と知識を備えた研究者を育成することを目指しています。また、大学の垣根を越えて広く研究者の人的交流を奨励することが期待されます。

 この共同観測では、ガンマ線バーストや超新星などの突発天体の観測だけではなく、地球規模ネットワークを利用した天体の時間変化を観測することにより、ブラックホールや中性子星を持つ連星系などの物理状態の研究を可能とします。平成 23 年 4 月 25 日から 5 月 2 日 (日本時間) の間、南米チリ (東京大学) や南アフリカ (名古屋大学) の望遠鏡を含めた 12 台の望遠鏡を使った第1回目の共同観測を実施しました。このキャンペーン観側には、39 名の大学・研究機関スタッフ、17 名の大学院生、2名の学部学生が参加しました。

 今回の観測では、突発天体として Ia 型超新星 SN 2011by および 45 年ぶりに増光した回帰新星 T Pyx (らしんばん座 T 星) の共同観測に成功した他、たて座デルタ型変光星 IP Vir (おとめ座 IP 星)、超巨大ブラックホールを中心に持つ銀河 1ES1215+303 と MCG-06-30-15 の変光を観測しました。これらの観測結果は、5 月 19 日、20 日の両日にわたり国立天文台三鷹キャンパスで開催されたワークショップで報告され、さらに詳しい解析の後、学術誌および今秋 9 月 19 日~ 22 日に鹿児島大学で開催される日本天文学会秋季年会で発表される予定です。