国立天文台 メールニュース

No.172(2017年4月21日発行)天文学者による出張授業「ふれあい天文学」 他

_____________________________________________________________________

    国立天文台 メールニュース No.172  (2017年4月21日発行)
_____________________________________________________________________

 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報
 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。
 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。

-----------------------------------------------------------
■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」
■超巨大ブラックホールの姿に迫る
■大学生・大学院生向け特別公開講演
-----------------------------------------------------------


■天文学者による出張授業「ふれあい天文学」

 国立天文台は、多くの小中学生に天文学に興味や親しみを持っていただくこ
とを目的に、天文学者が全国各地の小学校・中学校に出向いて授業を行う事業
「ふれあい天文学」を2010年度より毎年実施しています。例年、40名以上の天
文学者がこの「ふれあい天文学」を通じて、星の誕生のしくみ、ブラックホー
ルの不思議といった天文学の話題を各地の教室に届けています。
 2017年度も引き続きこの出張授業「ふれあい天文学」を実施します。現在、
実施校を募集中です。募集の締め切りは2017年5月31日 (必着) です。授業の
内容や実施日については学校と相談の上で決定します。
 実際の授業の例、応募方法等の詳細についてはウェブサイトをご覧ください。
 今年度はあなたの学校で「ふれあい天文学」の授業を開催してみませんか。

 この事業は、国立天文台天文学振興募金に寄せられた多くの皆様からのご厚
意により成り立っています。今後の事業継続のため、皆様のご理解とご支援を
お待ちしております。

 ▽出張授業「ふれあい天文学」実施校募集中
  http://www.nao.ac.jp/news/topics/2017/20170407-fureai.html

 ▽ふれあい天文学
  http://prc.nao.ac.jp/delivery/

 ▽天文学振興募金
  http://www.nao.ac.jp/bokin/


■超巨大ブラックホールの姿に迫る

 天の川銀河の中心には超巨大ブラックホールがあると考えられています。
「いて座A* (エースター)」と呼ばれるこの超巨大ブラックホールは、地球か
らの距離が約2万6000光年、質量が太陽の400万倍以上あると推測されています
が、その存在や特徴は、周囲をまわるガスや星の運動から間接的に求められた
ものです。ブラックホール近辺の直接撮影はたいへん難しく、これまでも成功
例がないのです。
 この超巨大ブラックホールの姿を、世界各地の電波望遠鏡を用いて直接捉え
ようとする試みが、現在、国際協力プロジェクトとして進行中です。

 遠方にあるブラックホールを直接観測すると、明るく輝くガスの中心に穴が
空いた「影」のように見えるだろうと、理論的に予測されています。しかし、
その「ブラックホールの影」は見かけがとても小さく、いて座A* の場合も直
径はわずか太陽の17倍程度と考えられています。そのため、直接捉えるために
はとても高い分解能の望遠鏡が必要になります。そこで、遠く離れた場所にあ
る複数の電波望遠鏡を組み合わせ、仮想的な一つの大きな望遠鏡として、高分
解能の観測を行う「超長基線電波干渉法 (Very Long Baseline Interferometry、
VLBI)」という方法を用います。
 このVLBIを用いた2つの観測プロジェクトが、現在いて座A* の直接撮影に挑
んでいます。一つは「Event Horizon Telescope (EHT、事象の地平線望遠鏡)」、
もう一つは「Global millimeter-VLBI Array (GMVA)」と呼ばれるプロジェク
トです。いずれも、世界各地の電波望遠鏡を組み合わせて地球サイズの巨大電
波望遠鏡を仮想的に作りあげ、一斉にいて座A* を観測して「ブラックホール
の影」を撮影しようというもので、この4月に実際に観測が行われました。そ
れがどのような姿を見せるかは、解析の結果を待たなければなりませんが、
とてもチャレンジングな人類初の試みです。

 この「ブラックホールの影」の直接撮影に挑むEHTプロジェクトには、国立
天文台水沢VLBI観測所の本間希樹 (ほんままれき) 教授をはじめとする日本の
研究者も参加しています。また、アルマ望遠鏡は、EHT、GMVA両方のプロジェ
クトに参加しており、観測に加わることでその感度を飛躍的に高めることに
貢献しています。

 ▽特集・ブラックホール撮影に挑む 第1回
  地球サイズの巨大望遠鏡プロジェクト:EHTとGMVA
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2017/04051_ehtgmva.html

 ▽特集・ブラックホール撮影に挑む 第2回
  そもそも、ブラックホールとは何か?
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/alma/2017/04142_7.html

 ▽サブミリ波VLBI Event Horizon Telescope Japan
  http://www.miz.nao.ac.jp/submilli/top


■大学生・大学院生向け特別公開講演

 総合研究大学院大学 (以下、総研大) 物理科学研究科 天文科学専攻 (注) 
と国立天文台は、天文学に関心を持つ大学生、大学院生を対象とした特別公開
講演ならびに入試ガイダンスを、関東地区 (三鷹) および関西地区 (京都) の
2カ所で開催します。今年のテーマは「国立天文台における天文学研究の最前
線」です。講演では、国立天文台の4名の研究者が最新の天文学の研究成果に
ついてお話しします。
 総研大で天文学を学びたいと思っている方は、ぜひご参加ください。事前の
お申し込みは不要です。内容の詳細は、総研大 物理科学研究科 天文科学専攻
のウェブサイトをご覧ください。

・関西地区 (京都) 開催概要
 日程:2017年5月13日 (土) 13時から16時45分まで
 会場:メルパルク京都 7階スタジオ2
     (京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676番13)
 アクセス:http://www.mielparque.jp/kyoto/access/

・関東地区 (三鷹) 開催概要
 日程:2017年5月20日 (土) 10時から17時30分まで
 会場:国立天文台 三鷹 すばる棟大セミナー室
     (東京都三鷹市大沢2-21-1)
 アクセス:http://www.nao.ac.jp/access/mitaka/access.html

 注:総合研究大学院大学 物理科学研究科 天文科学専攻は、国立天文台を
   基盤とする大学院大学です。

 ▽2017年 特別公開講演/総研大入試ガイダンス
   (総合研究大学院大学 物理科学研究科 天文科学専攻)
  http://guas-astronomy.jp/Applicants/nyusi-guidance.html


_____________________________________________________________________

発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室
発行日:2017年4月21日
_____________________________________________________________________

    

このページをシェアする