国立天文台 メールニュース
No.147(2015年6月15日発行) アルマ望遠鏡と重力レンズ効果で捉えたモンスター銀河の真の姿 他
_____________________________________________________________________ 国立天文台 メールニュース No.147 (2015年6月15日発行) _____________________________________________________________________ 国立天文台のイベントや研究成果、注目したい天文現象や新天体発見情報 などを、メールでお届けする不定期発行のニュースです。 どなたでも無料でニュースを受け取ることができます。 ----------------------------------------------------------- もくじ ■アルマ望遠鏡と重力レンズ効果で捉えたモンスター銀河の真の姿 ■理科授業のための天文セミナー2015 参加者募集 ■特設サイト「多波長で観る宇宙」 ----------------------------------------------------------- ■アルマ望遠鏡と重力レンズ効果で捉えたモンスター銀河の真の姿 アルマ望遠鏡が捉えた117億光年彼方のモンスター銀河 (注) 「SDP.81」の 画像が、2015年2月に世界同時公開されました。高い解像度と感度を誇るアル マ望遠鏡によって得られた SDP.81 の姿は、手前に偶然位置する銀河の重力レ ンズ効果によってリング状に拡大されており、世界中の研究者の注目を集めま した。しかし、重力レンズ効果を受けたこの銀河の複雑な観測結果の解釈はた いへん難しいものでした。 東京大学と国立天文台の研究者から成る研究グループは、SDP.81 の真の姿 を極めて精密に再現できる重力レンズ効果モデルを、世界に先駆けて発表しま した。そして、この銀河の内部構造を詳細に解明したばかりでなく、重力レン ズ効果をもたらしている手前の銀河に超巨大ブラックホールが存在することを 世界で初めて明らかにしました。 この研究成果は、モンスター銀河の形成過程、そして超巨大ブラックホール の成長メカニズムの解明につながると期待されます。 注:爆発的な星形成が起こっている初期宇宙の銀河。星形成の材料となる塵 (ちり) を大量に含むことからサブミリ波と呼ばれる電波を強く放射する ▽視力13,000を達成! アルマ望遠鏡と重力レンズ望遠鏡のかけ合わせで モンスター銀河の真の姿をとらえることに成功 (アルマ望遠鏡) http://alma.mtk.nao.ac.jp/j/news/info/2015/060913000.html ▽視力13,000を達成!アルマ望遠鏡と重力レンズ望遠鏡のかけ合わせで モンスター銀河の真の姿をとらえることに成功 (東京大学) http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/6857/ ■理科授業のための天文セミナー2015 参加者募集 国立天文台は、小学校教員および中学校理科の教員を対象とした研修会「理 科授業のための天文セミナー2015~高原で学ぶ宇宙~」を、8月11日から13日 までの2泊3日で実施します。会場は、清里高原および国立天文台野辺山宇宙電 波観測所です。 この講座では、室内での実習や講演だけでなく、野辺山の満天の星々やペル セウス座流星群の観察、野辺山宇宙電波観測所の見学などを通じて、宇宙に親 しみながら、天文分野の基礎から最先端まで楽しく学んでいただきます。 参加募集期間は6月22日10時から7月15日14時までです。 教員の皆様の積極的なご参加をお待ちしています。 「理科授業のための天文セミナー2015~高原で学ぶ宇宙~」実施概要 日程:2015年8月11日 (火) から13日 (木) (2泊3日) 会場:国立天文台野辺山宇宙電波観測所 (長野県南佐久郡南牧村野辺山462-2) 羽村市自然休暇村 (山梨県北杜市高根町清里3545-3877) 宿泊場所:羽村市自然休暇村 募集人数:40名 (申し込み先着順) 対象:全国の小学校教員、中学校理科担当教員 募集期間:2015年6月22日 (月) 10時から7月15日 (水) 14時まで (募集期間内でも定員に達し次第、募集を終了します) その他:集合場所、参加費、日程、応募方法等の詳細は、ウェブサイトを ご覧ください ▽理科授業のための天文セミナー2015 ~高原で学ぶ宇宙~ http://prc.nao.ac.jp/fukyu/teacher/ ■特設サイト「多波長で観る宇宙」 国立天文台ウェブサイトでは、「多波長で観 (み) る宇宙」という特設サイ トを2015年5月より公開しています。 このサイトでは、可視光望遠鏡、電波望遠鏡といった複数の種類の望遠鏡を 用いてさまざまな波長で天体を観測する意味を、多くの皆さんに知っていただ くことを目的としています。X線から電波まで異なる波長で観測された「アン テナ銀河」の姿を入り口に、さまざまな波長を通して探る多彩な宇宙の姿をご 覧いただきます。また、すばる望遠鏡やアルマ望遠鏡などのおなじみの望遠鏡 で、どのような波長域でどのような種類の天体を観測しているのかもご紹介し ています。 美しく迫力のある天体画像を集め、眺めているだけでも楽しめるサイトにな るように工夫しましたので、お気軽にお楽しみください。このサイトを通じて、 多波長で宇宙を観測することの重要性と共に、宇宙の美しさ、天文学のおもし ろさを感じていただければ幸いです。 ▽多波長で観る宇宙 http://www.nao.ac.jp/study/multiwave/ _____________________________________________________________________ 発 行:国立天文台 天文情報センター 広報室 発行日:2015年6月15日 _____________________________________________________________________