今週の一枚

アルマ望遠鏡アンテナ運搬台車の運転トレーニング

アルマ望遠鏡アンテナ運搬台車の運転トレーニング

アルマ望遠鏡の山麓施設(チリ、標高2900メートル)で、アンテナ運搬台車の運転練習の様子を写した一枚です。アルマ望遠鏡では、100トンあるアンテナを運搬するための専用車両が2台あり、専門のスタッフが運転します。一人前の運転手になるために、重量と重心位置などが本物のアンテナと同じになるように作られたダミーアンテナを使って運転の訓練を行いました。足がついた白い箱のような物体がダミーアンテナで、その左にいる運転手がリモコンで巨大な運搬台車を操作しています。

ズーム機能を実現するための特殊車両

アルマ望遠鏡は、アンテナの配置を変えることでカメラのズームレンズのようなはたらきを持たせることができます。アンテナを広い範囲に展開すると高い解像度が得られ、逆に狭い範囲に設置すると大きく広がった天体を観測することができるようになります。アルマ望遠鏡のアンテナは、およそ150メートルから16キロメートルまでのいくつかの配置を取ることができますが、最適なアンテナ配置は研究テーマによって異なるため、1年のうちに何度もアンテナを移動させて、さまざまな観測に対応できるようにしています。また、山頂施設(標高5000メートル)に設置されているアンテナは、一定期間ごとにメンテナンスのために山麓施設までおろされます。2台のアンテナ運搬台車は、山頂施設内での配置換えと山頂施設―山麓施設間のアンテナ移動のために、大活躍しているのです。

文:平松正顕(チリ観測所)

画像データ

撮影日時2013年11月30日
撮影者平松正顕
クレジット国立天文台

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