今週の一枚
すばるで探す「大切なもの」

かに座方向の領域(14分角×8.5分角)をすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)で撮影した画像。重ねられた等高線は、画像の分析から推定した、暗黒物質の分布を示しています。
見える銀河から見えない暗黒物質の分布を調べる
星の王子様は「大切なものは目には見えない」と言いました。私たちの宇宙にも、見えないけれど、宇宙の構造や運命を決定づけるほど大切な何かが、たくさん隠されているようです。正体がよく分からないので、「暗黒物質」という仮称がつけられています。大切なので、その分布を調べてみたいものです。しかしどうやって?
暗黒物質は自分自身光りませんから直接観測することはできません。ところが、その重さにより、背景の銀河の形が重力レンズ効果で少し歪みます。銀河の歪みのパターンを調べることで、逆に暗黒物質の分布を調べることができるのです。
すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSCは、その高い解像度を活かし、遠方にあるため暗くて小さくしか写らない銀河の形状を、これまでにない精度で計測しています。2014年3月から5年にわたる観測により、観測史上最大規模の暗黒物質分布図の作成を目指しています。ここで紹介した分布図は全体の36000分の1でしかありません。ご期待ください。
文:宮崎聡(先端技術センター)
画像データ
望遠鏡 | すばる望遠鏡 |
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観測装置 | Hyper Suprime-Cam |
クレジット | 国立天文台、HSCプロジェクト |