今週の一枚
巨大な複眼で宇宙をにらむ

アルマ望遠鏡のアンテナの大きさをわかりやすくするために、ピックアップトラックをアンテナ群の中において撮影しました。日本で一般的に見られるものよりやや大柄な北米仕様の車ですが、アルマ望遠鏡アンテナ群の中に置くと、まるでミニチュアカーのようです。
大きさの違うアンテナを組み合わせて
車の後ろに密集しているのが直径7メートルアンテナ、写真手前と右端に写っているのが直径12メートルアンテナです。これらはすべて日本製のアンテナです。アメリカとヨーロッパはそれぞれ直径12メートルのアンテナを25台ずつ製造し、最大で16キロメートルの範囲に展開します。一方、日本が開発した小口径のアンテナは密集した配置で設置されています。アルマ望遠鏡のように、複数のアンテナを組み合わせて一つの望遠鏡とする「電波干渉計」という観測システムでは、広い範囲に展開したアンテナからのデータを結合処理させると高い解像度が得られ、狭い範囲に置いたアンテナからのデータを結合させると広い視野が得られます。その両方を組み合わせることで、アルマ望遠鏡は大きく広がった天体の細かい構造を余すところなく捉えることができるのです。
文:平松正顕(チリ観測所)
画像データ
撮影日時 | 2013年11月17日 |
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撮影者 | 平松正顕 |
クレジット | 国立天文台 |