今週の一枚
花影かざすゴーチェ子午環

薄雲なびく淡青の空、まだ若い草葉の緑、そしてかすかに紅指す満開の桜。季節に似つかわしいやわらかな色合いで、国立天文台三鷹キャンパスが春色に染まっています。大きく広げた枝先まで咲き誇る木の傍らに立つ半円形の個性的な建物は、ゴーチェ子午環室。春を謳歌(おうか)する桜を花笠のようにかざすその白い屋根に、花房の影が揺れています。キャンパス内には多くの桜の木がありますが、その中でも一幅の絵のような快い情景です。
見学コースの春の名所
国立天文台三鷹キャンパスはかなりの広さがありますが、立ち入ることのできるルートは制限されています。このゴーチェ子午環室は常時公開されている施設の一つですので、常時公開コースの春の名所として見学いただけます。 1924年(大正13年)に建設されたゴーチェ子午環室は、天体の子午線通過を観測して、月、惑星、恒星、また遠方の活動銀河であるクエーサーなどの位置を精密に決定するために用いられていた観測室です。2014年にゴーチェ子午環室は国の登録有形文化財となっています。
文:内藤誠一郎(天文情報センター)
画像データ
撮影日時 | 2016年4月6日 |
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撮影者 | 長山省吾 |
クレジット | 国立天文台 |