今週の一枚

北緯39度8分の北天の日周運動

北緯39度8分の北天の日周運動

1899年、北緯39度8分の緯度線上に世界で6カ所の観測所が設置されました。そのうちの一つが水沢VLBI観測所の前身である緯度観測所でした。北極星の高度から北緯が分かることもあって、北天の日周運動は、これまでの百年以上に渡る歴史の中で、それぞれの時代を背負った建物などと一緒に何度も撮影されてきました。

日周運動の軌跡を示す北天の星々

24メートル離れたVERA水沢局(右)と10メートル電波望遠鏡(左)の上に輝く星々の動きを、広角レンズで2時間半に渡って追いかけました。短時間露光とコマ比較明合成技術のおかげで、薄明ぎりぎりまで星の軌跡を伸ばすことができています。VERA水沢局の上、高度約39度の位置には、ほとんど動かない北極星が輝いています。北極星の左側を良く見ると、二つの望遠鏡の間、少し上にカシオペヤ座の星々が細い縦の線になって見えています。ここから上にかけてペルセウス座からぎょしゃ座の星々の円弧が繋がります。その左には、すばる(プレアデス星団)を抱くおうし座の星々が広がります。北極星の右に目を移すと、こぐま座からりゅう座の暗めの星々が広がり、右上には北斗七星の一部が見えているようです。広角のため、画面の端では木々や建物だけでなく星々も随分ひしゃげていて、独自の構図になっています。

文:亀谷收(水沢VLBI観測所)

画像データ

カメラオリンパス OM-D E-M1
レンズOLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO
露出ISO1600、F4.0、8秒露出×1154コマ比較明合成(撮影時間:およそ2時間30分)
撮影日時2016年10月27日1時58分
撮影者飯島裕
クレジット国立天文台
二次利用についてこの画像は、研究発表、講演会、学校の授業で利用する場合、許諾なく利用できます。それ以外の場合、事前許諾なしには利用できませんので利用申請をお願いします。特に商用利用の場合は、飯島氏との交渉と写真利用料が必要になることがあります。

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