今週の一枚
月の形成
地球の衛星である月はどのようにして誕生したのでしょうか。この映像は「巨大衝突説」に基づいた月形成のシミュレーションを可視化したものです。今から約46億年前の地球が誕生する最終段階で、原始地球に火星程度の大きさの原始惑星が斜めから衝突をします。この衝突の勢いで原始惑星は溶け、また蒸発し、地球の周りに円盤を形成します。この円盤が材料となって月が誕生したとする説が巨大衝突説です。
円盤から月へ
円盤となって周る月の材料は、地球に近い場所では地球の重力によって落ちてしまいます。一方地球から離れた場所では、月の材料そのものの重力によってお互いに集まり、月の種を作り出します。こうしてできたいくつもの月の種同士がさらに合体し、やがてひとつの大きな月が誕生します。シミュレーションからは、衝突後、円盤が冷えて固体粒子ができてから月ができるまでにかかる時間はわずか1カ月ほどであったと考えられています。
巨大衝突説
月の誕生には様々な説が考えられてきました。しかし、(1)質量が地球の100分の1もある、(2)地球のマントルと同じような岩石で出来ている、(3)回転の勢い(角運動量)が大きい、という月の特徴を説明できなければなりません。この映像で可視化している「巨大衝突説」は、これらの月の特徴をすべて説明できる説であるため、現在最も有力であると考えられています。
映像データ
前半:巨大衝突
計算に使用した粒子数 | 6 x 104個 |
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現象の時間スケール | 数日 |
現象の空間スケール | 4-5地球半径 |
計算をおこなった研究者 | Robin M. Canup (Southwest Research Institute) |
後半:月の集積
使用計算機 | GRAPE-4 |
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計算に使用した粒子数 | 1 x 105個 |
現象の時間スケール | 1カ月 |
現象の空間スケール | 4-5地球半径 |
計算をおこなった研究者 | 武田隆顕(国立天文台) |
クレジット
シミュレーション:Robin M. Canup、武田隆顕
可視化:武田隆顕
国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
関連リンク
注:この映像をご利用の際には、4D2Uプロジェクトページ「ご利用上の注意」をご覧ください