今週の一枚

土星リングの力学(I. wake構造)

土星の環を作り出しているのは、数十センチメートルから数メートル程度の無数の小さな氷の粒子です。環の氷粒子は、土星の衛星の運動と同じように、土星本体に近いほど速く、遠いほどゆっくりと回転運動しています。氷粒子同士がお互いの重力によって引き合う効果と、回転の速度差によって引き伸ばされる効果によって、氷粒子は回転方向に対して斜めの縞模様を描きます。このような構造を「ウェイク構造」と呼んでいます。 この映像は、土星を周回する氷粒子の重力を計算し、その運動を可視化したものです。

未だ見ぬ土星の風景

土星リングの観測画像に見えている縞模様は、ウェイク構造よりも少し大きいスケールの現象です。ウェイク構造のような小さい構造は、カッシーニなどの惑星探査機でも直接観測することはできません。しかし、掩蔽(えんぺい)観測により間接的に確かめられています。ウェイク構造は、A環やB環のような環の中でも最も密度の大きな領域で起こっていると考えられています。

映像データ

使用計算機GRAPE-6
計算に使用した粒子数7×104粒子
現象の時間スケール数日
現象の空間スケール数十~数百メートル
計算をおこなった研究者台坂博(一橋大学)
クレジット台坂博、武田隆顕、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト

関連リンク

注:この映像をご利用の際には、4D2Uプロジェクトページ「ご利用上の注意」をご覧ください