今週の一枚

50センチ公開望遠鏡の上に、冬の夜が更けてゆく

50センチ公開望遠鏡の上に、冬の夜が更けてゆく

冬のとある夜、三鷹キャンパスから見上げる空には雲一つありません。小さなドームから顔をのぞかせているのは、口径50センチメートルの反射望遠鏡。時間とともに巡りゆく星の間をじっと見つめています。「50センチ公開望遠鏡」は、小惑星や彗星などの研究観測に用いられるだけではなく、毎月2回の定例観望では訪れる人の目に遠くの天体の光を届けています。暖かい服装で、冬の晴れた空を楽しみにお越しください。今日も、冷たく澄んだ静かな夜がこれから更けていきます。

季節の舞台から退く星座たち

この写真では向かって右手が北の空、星々の描く円弧の中心方向に北極星があります。西の方角を臨んでいますから、写っているのは、見頃の季節を終えて舞台から退場していく星座たちです。50センチ公開望遠鏡のドームのすぐ上、木立の奥に沈んでいく周囲よりも明るい軌跡は、1等星デネブ。この写真が撮影されたのは、冬の最中の1月ですが、真夏の星座であるはくちょう座が、宵闇に移っていく時間帯に、地平線に突き立つ十字のように最後の姿を見せています。秋の頃には夜空を高く馳せていたペガスス座も、西を目指して駆け下っています。南の空には、きらびやかな冬の星座が夜空を飾っているでしょう。

注:この写真は、およそ100分間かけて撮影した星の移動と、地上の風景とを合成しています。

文:内藤誠一郎(天文情報センター)

画像データ

カメラNikon D600
レンズAF-S 18-35mm f/3.5-4.5G ED(21mmで撮影)
撮影日時2015年1月13日 19:01(地上)、2015年1月13日 19:02~20:46(夜空)
露出F5、20秒、ISO1250(地上)、F5、10秒、ISO1250(夜空、565枚を比較明合成)
撮影者長山省吾
著作権国立天文台

ダウンロード

関連リンク