今週の一枚トップ 今週の一枚 45メートル電波望遠鏡の表面の雪落とし 2015年12月15日 冬の野辺山宇宙電波観測所の風物詩のワンシーンを撮影したものです。冬は45メートル電波望遠鏡の観測シーズンですが、雪が降ってくると観測は一時中断し、雪がなるべく鏡面につかないような方向にアンテナを向けます。ついてしまった雪は昼間に太陽の方向に向けて融かすのですが、真冬の最高気温が0度にならない野辺山では思うように融けないことがよくあります。特に、湿り気の多い雪ならなおさらです。そういった場合は、写真のように鏡面の雪かきをすることになるのです。 45メートル電波望遠鏡の観測シーズン 野辺山45メートル電波望遠鏡の観測シーズンは、水蒸気の少ない冬から春にかけて(12月から5月頃)になります。「雪が降ったり気温が低かったりして厳しい環境だから観測するのも大変そう」と思われるかもしれませんが、実は、寒いからこそ観測できるのです。 45メートル望遠鏡で観測している電波は、電波の中でも波長の短いミリ波と呼ばれる電波を観測しています。ミリ波は大気中の水蒸気によって吸収されやすいため、湿度が高いと宇宙から来るミリ波を観測できなくなってしまいます。同じ湿度であっても気温が低ければ低いほど空気中の水蒸気は少なくなりますので、カラッと晴れる冬場で、寒ければ寒いほど観測には好条件ということになります。そのため、観測は冬が本番ということになるのです。周囲も山に囲まれて人工電波の影響も受けにくい野辺山は、日本ではミリ波の観測に非常に適した場所といえます。 文:衣笠健三(野辺山宇宙電波観測所) 撮影日時2013年12月20日 撮影者高野秀路 著作権国立天文台 画像データ ダウンロード 中解像度(940 x 666、713KB) 高解像度(2000 x 1418、2.21MB) 最高解像度(2835 x 2010、3.61MB) 関連リンク 国立天文台 野辺山 FAQ 次の一枚:環状星雲を包む微かなハロー 惑星状星雲 M57 前の一枚:冬の星座を流れ落ちる ふたご座流星群 今週の一枚トップ
冬の野辺山宇宙電波観測所の風物詩のワンシーンを撮影したものです。冬は45メートル電波望遠鏡の観測シーズンですが、雪が降ってくると観測は一時中断し、雪がなるべく鏡面につかないような方向にアンテナを向けます。ついてしまった雪は昼間に太陽の方向に向けて融かすのですが、真冬の最高気温が0度にならない野辺山では思うように融けないことがよくあります。特に、湿り気の多い雪ならなおさらです。そういった場合は、写真のように鏡面の雪かきをすることになるのです。
45メートル電波望遠鏡の観測シーズン
野辺山45メートル電波望遠鏡の観測シーズンは、水蒸気の少ない冬から春にかけて(12月から5月頃)になります。「雪が降ったり気温が低かったりして厳しい環境だから観測するのも大変そう」と思われるかもしれませんが、実は、寒いからこそ観測できるのです。 45メートル望遠鏡で観測している電波は、電波の中でも波長の短いミリ波と呼ばれる電波を観測しています。ミリ波は大気中の水蒸気によって吸収されやすいため、湿度が高いと宇宙から来るミリ波を観測できなくなってしまいます。同じ湿度であっても気温が低ければ低いほど空気中の水蒸気は少なくなりますので、カラッと晴れる冬場で、寒ければ寒いほど観測には好条件ということになります。そのため、観測は冬が本番ということになるのです。周囲も山に囲まれて人工電波の影響も受けにくい野辺山は、日本ではミリ波の観測に非常に適した場所といえます。
文:衣笠健三(野辺山宇宙電波観測所)