自然科学研究機構 国立天文台

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すばる望遠鏡主鏡のほこり落としにはドライアイスのはたき掛け

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すばる望遠鏡が設置されているマウナケアは、天候が良く、乾燥していることから天体観測に適しています。しかし乾燥のおかげで、細かな土ぼこり(マウナケアの火山灰)が巻き上がり、これが観測中に主鏡に積もってくるのが悩みの種。ほこり落としは、観測性能維持のための大事な作業です。しかも掃除を繰り返すことで表面が荒れるようでは困ります。様々な実験の結果、液化炭酸から固体と気体の炭酸を発生させて、はたきをかけるようにしてほこりを取る方法に辿り着きました。

多様な技術の融合、すばる望遠鏡の清掃

すばる望遠鏡の外径8.3メートルの主鏡は約33畳相当の面積があり、このうち8.2メートルの部分を観測に使っています。都会では工場や車の排気ガスに含まれる物質、加えて季節により植物の花粉やヤニなどで鏡が汚れてきます。マウナケアでは、ガラス質を含むたいへん細かい火山灰。ほこりが付いた状態で霧が来てしまうと、さあ大変。ほこりが鏡面のアルミニウムにこびり付いてしまいます。望遠鏡のオペレータさんは、そのようなことが起きないよう、注意を払っています。

掃除方法としては、乾燥した気候であれば、半導体基板の清掃に使われるドライアイスが良いようだということで、国立天文台でも基礎実験から実用化へと開発を進めました。これは二酸化炭素が昇華という特別な性質を持っていることを利用しています。高圧の液化炭酸のシリンダーから、気化した二酸化炭素が勢いよく吹き出す。その中で急冷されて一部固体になったものが、鏡面に触れて再び気体になるときの急激な膨張によりほこりをやんわりとはじき飛ばすのです。望遠鏡にこの清掃機構を組み込むことができたおかげで、大鏡面の掃除がやりやすくなったのでした。

文:林 左絵子(国立天文台ハワイ観測所)