今週の一枚

太陽を追う3つの瞳、太陽フレア望遠鏡

太陽を追う3つの瞳、太陽フレア望遠鏡

天文学の現場は、夜にだけあるわけではありません。良く晴れた秋の一日、青空にまばゆく輝く太陽を、国立天文台三鷹にある太陽フレア望遠鏡が終日追いかけています。太陽フレア望遠鏡は、可視光および赤外線の波長で、太陽全面の活動の様子と磁場の強さとを同時に観測できる専用望遠鏡です。太陽活動が長期間で変動するメカニズムの解明を目指して毎日の観測を続けている、国立天文台太陽観測所の現在の主力観測装置です。

太陽フレアの総合観測装置

太陽の外側に広がる高温ガス、コロナの中で起こる爆発現象が太陽フレアです。太陽は強い磁場を持っており、太陽表面に出現する黒点は磁力線が集中した活動領域を表しています。この活動領域に集まった磁気エネルギーが放出されると、外側のコロナガスを加熱してフレア爆発を起こすのだと考えられています。約11年ごとに巡ってくる太陽活動の極大期には、多くの黒点が出現しフレアの発生回数も増加します。しかし長期間の活動を見ていくと、この周期性が乱れることがあります。このような太陽の変動のメカニズムを解明するには、長期間にわたり系統だった太陽活動のデータを蓄積し続けることが必要です。 三鷹構内の北西の端に設置されている太陽フレア望遠鏡には、口径15センチメートルと20センチメートルの望遠鏡が2本ずつ同架されています。それぞれに異なる装置を搭載し、太陽活動を総合的に観測することができるのです。現在は、3つの装置で黒点やフレアの活動と磁場分布を計測しています。

文:内藤誠一郎(天文情報センター)