今週の一枚
金星の雲の変化

天体 | 金星 |
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望遠鏡 | すばる望遠鏡 |
観測装置 | COMICS |
波長(フィルター) | 8.59μm (UIR8.6)、11.24μm (UIR11.2)、12.81μm (NeII) |
カラー合成 | 赤(UIR8.6)、緑 (UIR11.2)、青(NeII) |
露出 | 10月26日:8秒 (UIR8.6), 2秒 (UIR11.2), 4秒 (NeII) 10月27日:4秒 (UIR8.6), 2秒 (UIR11.2), 4秒 (NeII) 10月28日:4秒 (UIR8.6), 1.5秒 (UIR11.2), 4秒 (NeII) 10月19日:6秒 (UIR8.6), 1.5秒 (UIR11.2), 3秒 (NeII) |
撮影日時 | 2007年10月26日~29日 |
撮影場所 | ハワイ島マウナケア |
撮影者 | 三津山和朗(ISAS, JAXA) |
画像処理者 | ランドック・ラムゼイ(国立天文台) |
著作権 | 国立天文台 |
「雲」が存在する惑星は地球だけではありません。天文学者たちにとって、地球の雲は観測の邪魔になりますが、他の惑星にある雲は観測の対象になっています。
水蒸気でできている地球の雲と異なり、金星の雲は細かな硫酸の滴でできています。金星を覆う雲は厚く、可視光・赤外線では金星の地表を観測することができません。かわりに、雲の形を観測することでわかることがあります。 金星の自転は非常にゆっくりで、金星の1日は地球の117日にあたります。一方で、金星の大気はたったの4日~5日で金星を一周します。この現象は「スーパーローテーション」と呼ばれています。また、金星の自転方向(この画像では右から左)は太陽系の他の惑星とは反対向きですが、その理由はまだ分かっていません。
このすばる望遠鏡が撮った疑似カラーの赤外線写真は、4日間におよぶ雲の表面の温度変化を示しています。赤は熱い領域、青は冷たい領域です。この変化は金星の大気の上下動や乱気流によって引き起こされます。毎日、露出時間が少しずつ異なるため、量的な比較は困難ですが、質的に雲の姿が日々変化していることが見て取れます。特に、金星の北極と南極にはドラマティックな変化が見えます。
文:ランドック・ラムゼイ(国立天文台)