今週の一枚

新型の超広視野カメラ Hyper Suprime-Cam、始動へ

この動画は、超広視野カメラHyper Suprime-Cam(ハイパー・シュプリーム・カム、HSC)をすばる望遠鏡主焦点部に装着するときの様子を撮影したものです。画面左側奥にあるトップユニット階で観測に備え待機していたHSCを黄色いトップユニット交換装置が受け取り、主焦点部へ運搬し望遠鏡へ装着します。特にこの動画が撮られた時は第1回目の試験観測だったため、各段階で確認を取り慎重に作業が進められました。配線作業なども含めて全体で5時間ほどもかかった作業なのです。

手に汗握るHSCの装着作業

すばる望遠鏡は主焦点部に観測装置を直接装着したり、副鏡を装着し他の焦点へ光を導いて観測することができますが、特にHSCの装着はとても気を使う作業です。主焦点部に到着したトップユニット交換装置は取り付け用インターフェース(直径1メートル円環)の中にHSCのレンズを下ろしながらはめ込んでいき装着を行うのですが、片側15ミリメートルというわずかなクリアランスの中を1.5メートルもはめ込んでいかなければなりません。相互の位置を確認しながら慎重に装着作業を進めていくことが必要なのです(動画の35秒~1分の部分)。しかも主焦点部は床からはるか20メートルもの高所です。命綱を付けた熟練作業者が行う、一時も気が抜けない難作業なのです。

文:小宮山 裕(ハワイ観測所)