今週の一枚

HiCIAO円盤ギャラリー

SEEDSプロジェクトにおいて、すばる望遠鏡用に開発された高コントラスト近赤外線カメラHiCIAOを用いて撮影された原始惑星系円盤および残骸円盤の観測画像ギャラリーです。私達が住んでいる地球などの惑星は大昔に太陽を取り巻く円盤内で生まれたと考えられています。今回円盤に見つかった複雑な構造は、惑星と円盤とが重力的に相互作用して生じたと推測され、木星や地球のような惑星が今まさに誕生しているのかもしれません。

太陽系スケールで見え始めた惑星形成の現場

SEEDSプロジェクトはすばる望遠鏡における戦略枠観測プロジェクトで、太陽系外惑星とその形成現場である円盤の観測的研究を推進することが目的です。若い星のほとんどは惑星のもととなるガスや固体微粒子(ちり)を豊富に含んだ円盤に囲まれており、惑星の形成過程を理解するためには、太陽系の惑星が周回している半径数十天文単位における円盤の観測が重要だと考えられます。しかし明るい星のため、そのような太陽系スケールでの円盤を観測することはこれまで非常に困難でした。その困難を克服したのはHiCIAOに搭載された偏光差分光学系です。円盤内に惑星が生まれると、惑星と円盤との重力的な相互作用により渦巻腕や空隙が生じ、円盤に複雑な模様を形成すると考えられています。したがって、ギャラリーのような多様な円盤の構造をとらえたことで、SEEDSは惑星が今まさに誕生している現場を太陽系スケールで写真に収めることに成功したと言えるでしょう。

文:橋本 淳(オクラホマ大学)