夜空の下で宇宙からの電波を受ける45メートルミリ波望遠鏡を背景に、輝く文字が浮かび上がりました。「NRO」は野辺山宇宙電波観測所(Nobeyama Radio Observatory)の略称です。カメラのシャッターが開放されている間にライトを動かすことで、光の軌跡を一枚の写真に写しこんでいます。このような撮影方法は「ライトペインティング」と呼ばれます。この写真は30秒間の露出で撮影されました。短い時間の日周運動はごくわずかなので、星は点状に止まっていますが、流れていく雲がヴェールのように掛かっています。
夜空の下で宇宙からの電波を受ける45メートルミリ波望遠鏡を背景に、輝く文字が浮かび上がりました。「NRO」は野辺山宇宙電波観測所(Nobeyama Radio Observatory)の略称です。カメラのシャッターが開放されている間にライトを動かすことで、光の軌跡を一枚の写真に写しこんでいます。このような撮影方法は「ライトペインティング」と呼ばれます。この写真は30秒間の露出で撮影されました。短い時間の日周運動はごくわずかなので、星は点状に止まっていますが、流れていく雲がヴェールのように掛かっています。
光を蓄積する写真術と天文学
古来より人間は肉眼で宇宙を見ていました。望遠鏡が登場した当時も、目でのぞいて観察した結果をスケッチなどに書き留めて記録しました。それぞれの瞬間に網膜で受けた光に反応する人間の目では、光の弱い天体の姿を十分に見ることができません。19世紀に写真術が誕生したことで、天文学は大きく変わっていきます。肉眼ではとらえられない暗い星や淡く広がった星雲、銀河の構造を、光を蓄積することで露わにすることができるようになったのです。現代ではCCDなどの高感度の観測装置が人間の瞳に代わって宇宙からの光を受け止めています。
秋から冬へと移り変わる夜空
写真には、45メートル電波望遠鏡を前景に北東の方角から昇ってくる星々が写っています。画面右上に明るい星が集まっているのは、秋を代表する星座の一つ、ペルセウス座の領域。望遠鏡のすぐ脇にひときわ輝いているのは、ぎょしゃ座の1等星カペラです。秋から冬へ、夜空の主人公が交代していく最中に撮影された一コマです。
文:内藤誠一郎(天文情報センター)