自然科学研究機構 国立天文台

日本歳時記

貴重書・

日本歳時記

「日本歳時記」は儒学者であり本草学者である貝原益軒(かいばら えきけん)が指導し、甥の貝原好古(かいばら よしふる)によって編纂されました。歳時記の本元といえば中国の「荊楚(けいそ)歳時記」で、年中行事や故実を説明したものです。「日本歳時記」は日本の民間の風俗や行事を季節ごとに紹介しており、「荊楚歳時記」等の古典を引用しながら由来を説明しています。また、季節ごとの動植物、二十四節気についても記されています。「日本歳時記」はただ古典を引用しているのではなく、折々の生活の諸注意や、和歌や漢詩、動植物の食用・薬効までが益軒と好古によって述べられており、歳時記でありながらちょっとした家庭用百科事典とも言えるものでした。

画像は太陰太陽暦の8月15日、秋九十日の半ばの中秋の風俗として紹介されている月見の絵です。太陰太陽暦では朔日が新月から始まるので、15日は満月になります。また、7月、8月、9月が秋のため、8月15日は秋の季節のちょうど真ん中になります。

絵の中では月が水面に映って揺れているのを、宴席の人たちが眺めています。「今宵は秋の最中にて、殊に月を賞する故に、月夕とも、三五夕(注)ともいふ」と記されています。(注:3×5=15という洒落)

なお、「日本歳時記」では、1月15日に「一年十二度の円月の始なり。故に心あらん人は、今宵の月を玩ぶべき事にや。」、9月13日に「倭俗、今宵月を賞する事、中秋のごとし。」と記しています。2014年の中秋の名月は9月8日(月曜日)です。