今週の一枚

VERA小笠原観測局――20m電波望遠鏡と天の川

VERA小笠原観測局――20m電波望遠鏡と天の川

2014年の夏に東京都小笠原村にあるVERA小笠原観測局にてVERA20m電波望遠鏡と南の空を収めました。 夏の夜空に這うさそり座と、天の川の対岸からさそりを狙ういて座が写っています。望遠鏡の周りの明るい星は土星、スピカと火星です。

VERAは天の川銀河の精密な立体地図を作るプロジェクトで、全国4か所に直径20メートルの電波望遠鏡を設置し、昼夜観測をしています。VERA小笠原観測局はその4つのうちの1つで、小笠原諸島、父島の旭山に設置されています。小笠原諸島は東京の南1000キロメートルの太平洋上にあります。独自の生態系を持つことから、東洋のガラパゴスと称され、2011年には世界自然遺産に登録されました。観測局内でも父島固有種であるテリハコブガシを見ることができ、写真にも、さそりの尻尾の下にシルエットが写っています。この木が北限とされており、特に貴重な1本です。

文:清水上誠(国立天文台 水沢VLBI観測所)