今週の一枚

初夏の風物詩――188cm反射望遠鏡主鏡アルミ蒸着作業

岡山天体物理観測所188cm反射望遠鏡主鏡のアルミ蒸着作業が岡山県の初夏の風物詩として定着してからもう長くになります。1960年の開所から50年を超える月日の流れの中で、蒸着作業に携わる職員の顔ぶれは大きく変わりました。しかし、作業を安全確実に遂行し、ピカピカの鏡でまた次の一年に臨もうという気概は、今も変わらずそこにあります。それこそが岡山天体物理観測所の共同利用を支えているのです。

188cm反射望遠鏡主鏡のアルミ蒸着作業

毎年6月上旬、鴨方町だと梅雨入り前後の時期に、188cm反射望遠鏡主鏡の古くなったアルミ蒸着膜を新しくする作業を職員総出で行います。時には国立天文台の他の部署から応援の人を頼むこともあります。職員は、望遠鏡から主鏡を取り外す解体班、古くなったアルミを取り去る洗浄班、洗浄された主鏡に新しいアルミ蒸着を施す蒸着班の三班に分かれて、互いに協力しながら作業を進めて行きます。どの作業も長時間の立ち仕事で、なおかつ、かなりの力仕事です。普段使わない筋肉を使うため、誰もが筋肉痛に襲われます。ですから、真空槽から取り出された鏡が期待通りの美しい姿を現すと、誰もがホッとします。それまでの努力が報われる瞬間です。ピカピカになった鏡は注意深く望遠鏡本体へ戻されます。次なる一年がここから始まります。

文:泉浦秀行(岡山天体物理観測所)