今週の一枚トップ 今週の一枚 太陽面を横切る漆黒の影――2012年の金星日面経過 2014年6月 6日 2012年6月6日。金星が太陽の手前を横切る「日面経過」が起こりました。このとき、金星は見かけ上太陽と重なり、太陽の光球を背景に真っ黒な影絵のように浮かび上がります。その真っ黒な金星が光球の縁にかかる際、金星の周りを縁取るような光の輪が観察されることが知られています(オレオール現象)。これは、金星の大気によって背景にある太陽の光が屈折して見えるためと考えられています。今回の金星日面経過では、太陽観測衛星「ひので」がこの現象をかつてない鮮明な画像で捉えました。 金星の日面経過はたいへんまれな現象で、8年、121.5年、8年、105.5年という周期で繰り返し起こります。近年では2004年6月8日、2012年6月6日に起こりましたが、次回は105年以上先の2117年12月11日になります。 2012年6月6日の金星日面経過は、日本では、現象の始まりから終わりまでおよそ6時間半におよぶ全過程を観察できるよい条件となりました。あいにくの天候で全過程の観察に成功した地域は一部となりましたが、太陽の手前を横切る黒い金星の影に全国の注目が集まりました。 太陽観測衛星「ひので」は、この金星の日面経過を可視光磁場望遠鏡、X線望遠鏡で捉えています。地球大気のゆらぎに邪魔されることなく撮影された鮮明で迫力ある映像は、ひので科学プロジェクトのウェブサイトでご覧いただくことができます。 文:小野智子(天文情報センター) 撮影日時2012年6月6日 7時26分53秒(日本時間) 望遠鏡太陽観測衛星「ひので」可視光磁場望遠鏡 波長カルシウム クレジット国立天文台/JAXA 画像データ ダウンロード 最高解像度(960 x 944、595KB) 関連リンク 「ひので」から見た金星の太陽面通過(ひので科学プロジェクト) 金星の日面経過(暦計算室) 次の一枚:耳をすます季節の終わり――春を迎えた野辺山の電波望遠鏡 前の一枚:測量台(『寛政暦書』) 今週の一枚トップ
2012年6月6日。金星が太陽の手前を横切る「日面経過」が起こりました。このとき、金星は見かけ上太陽と重なり、太陽の光球を背景に真っ黒な影絵のように浮かび上がります。その真っ黒な金星が光球の縁にかかる際、金星の周りを縁取るような光の輪が観察されることが知られています(オレオール現象)。これは、金星の大気によって背景にある太陽の光が屈折して見えるためと考えられています。今回の金星日面経過では、太陽観測衛星「ひので」がこの現象をかつてない鮮明な画像で捉えました。
金星の日面経過はたいへんまれな現象で、8年、121.5年、8年、105.5年という周期で繰り返し起こります。近年では2004年6月8日、2012年6月6日に起こりましたが、次回は105年以上先の2117年12月11日になります。
2012年6月6日の金星日面経過は、日本では、現象の始まりから終わりまでおよそ6時間半におよぶ全過程を観察できるよい条件となりました。あいにくの天候で全過程の観察に成功した地域は一部となりましたが、太陽の手前を横切る黒い金星の影に全国の注目が集まりました。
太陽観測衛星「ひので」は、この金星の日面経過を可視光磁場望遠鏡、X線望遠鏡で捉えています。地球大気のゆらぎに邪魔されることなく撮影された鮮明で迫力ある映像は、ひので科学プロジェクトのウェブサイトでご覧いただくことができます。
文:小野智子(天文情報センター)