今週の一枚
木星のリング

撮影日時 | 2005年5月25日 |
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望遠鏡 | すばる望遠鏡 (有効口径 8.2m)、カセグレン焦点 |
波長(フィルター) | K' バンド (2.20μm)、 H2O Ice (3.05μm)、L バンド (3.77μm) |
カラー合成 | 青 (H2O Ice)、緑 (L)、赤 (K') |
カメラ | IRCS(近赤外線分光撮像装置) |
露出 | 270秒 &300秒 (K’), 200秒 (H2O Ice), 60秒 (L) |
撮影場所 | ハワイ島マウナケア山 |
撮影者 | 高遠、寺田 |
画像処理者 | ランドック・ラムゼイ |
天体名 | 木星 |
イメージ視野 | 約43秒角にトリミング |
クレジット | 国立天文台 |
ボイジャー1号が木星に届くまで、木星のリングは発見されていませんでした。なぜならば、リングは薄く暗いだけではなくて、まぶしい木星から散乱される光が観測を邪魔するためです。地球上の望遠鏡による観測はほとんど不可能ですが、国立天文台のすばる望遠鏡はこの困難に打ち勝って、この写真を撮影しました。
木星からの光が地球の大気と観測装置のレンズで散乱され、惑星の周りに赤い光として広がっています。右下にある赤い線はテーベという木星の衛星(J XIV)の画像です。写真を撮影するのに掛かった13分の間にテーベが動いたために、伸びて、線のように写りました。
土星のリングの主要な材質は水の氷です。一方で木星のリングはダストから成り立っています。この疑似カラーの赤外線写真で、水の氷を観測するフィルターのデータは青で描かれています。リングには青い成分がほとんどありません。
昔、彗星か小惑星あるいは今は消えてしまった衛星が土星に近づき過ぎた時、土星の強い重力で引き裂かれて、リングになったと思われています。他方、木星のリングのダストは、小さい隕石が木星の衛星とぶつかった時に飛び出した物だと考えられています。
(文:ランドック・ラムゼイ)