今週の一枚

ヘール・ボップ彗星を追う野辺山45メートル電波望遠鏡

ヘール・ボップ彗星を追う野辺山45メートル電波望遠鏡

20世紀最大の彗星といわれるヘール・ボップ彗星を野辺山45メートル電波望遠鏡で観測している様子です。1997年3月30日の午後6時30分頃野辺山キャンパス内で撮影したもので、イオンの尾とダストの尾がきれいにのびた近日点直前の大彗星の姿をとらえています。野辺山45メートル望遠鏡は1982年に完成して以来今年(2013年)で31年となりますが、ミリ波の電波を観測する望遠鏡としては世界最大口径の望遠鏡として、最先端の研究を続けています。

撮影当時の状況とアイソン彗星への期待 ―筆者より―
この彗星が来る時期(1997年1~4月頃)に天体写真を撮り始めたため、ヘール・ボップ彗星は思い出深い彗星です。彗星の見える時間にあわせて、朝な夕なにカメラをもって追いかけました。この写真を撮った当日は、午後に雨が降り、一時はダメかとあきらめていたのですが、雨あがりの夕空はみごとに雲が一掃されて、クリアな空となりました。撮影時には電波望遠鏡の方でもこの彗星の観測をしていました。

2013年の11月末から12月上旬頃に、肉眼で十分見えるくらい明るくなるといわれるアイソン彗星が姿をみせます。石垣島のむりかぶし望遠鏡をはじめとして世界各地で明るくなっている姿がとらえられていますが、このところなかなか晴れず、私はまだお目にかかっておりません(2013年10月下旬現在)。アイソン彗星が予想通り雄大な大彗星となることを期待しています。

(文:齋藤泰文)