質問10-7
歳差ってなに?
夜空に見えている恒星のうち、北極星は、時間がたっても季節が変わっても、北の空のほぼ同じ位置にずっと見えているので、北の方角を知るときの目安としてよく使われますよね。しかし、何千年後も現在の北極星がこのような目的に使えるわけではありません。
地球の地軸(自転軸)は、地球の公転面に対して垂直に立っているわけではなく、図のように約23.4度斜めに傾いています。ちょうど地軸の北側が指している方向に現在の北極星があるので、地球が自転しても、北極星だけは、ほとんど動かないように見えています。しかし、地軸が指している方向は、ずっと同じではありません。地軸は、公転面に垂直な方向に対して半径約23.4度の円を描くように移動し、約26000年の周期で一回りしています。そのため、その円周上付近にある恒星(例えば、こと座のベガ)が、将来の“北極星”となるわけです。
このような地球の運動を「歳差(さいさ)」運動と言います。
この動きは、コマを回したときに、コマの心棒が一定の傾きを保ったまま、ゆっくりとその頭を回していく動きと似ていますね。
地球が歳差運動をするのは、太陽や月、惑星の引力によって、傾いている地球の地軸を引き起こそうとする力が働くためです。