ゴーチェ子午環室
子午環は、子午線上の天体の位置(赤経と赤緯)を精密に観測できるように工夫された望遠鏡です。そのため、子午線面内(南北方向)でのみ正確に回転する仕組みになっています。
ゴーチェ子午環は、1903年のフランス製で、1904年に当時の価格約2万円で購入されました。当時天文台のあった麻布でしばらく試験的に使用されましたが、1924年の天文台の三鷹への移転後に、三鷹の主要装置として本格的に稼働しました。なお、1923年の関東大震災時は、移転作業のために梱包されていて被害をまぬがれました。
長期にわたって眼視による月・惑星・恒星の位置観測を行っていましたが、1982年に自動光電子午環が建設され、第一線を退きました。しかし1992年より10年間程、再び最新のCCDマイクロメータを装備してクェーサーをはじめとする微光天体の精密位置観測に活用されました。
観測室の建物は、1924年に建設されました。半円形のドームに入口の台形の屋根という異質な形を組み合わせることで、デザイン的な美しさをねらっています。
概要
口径 | 20センチメートル |
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焦点距離 | 310センチメートル |
観測対象 | 天体の精密な位置観測 |
1924年 (大正13年) | 建設 |
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1983年 (昭和58年) | 眼視観測終了 |
1992年 (平成4年) | CCDマイクロメータを装備 |
2000年頃 | 観測終了 |
2014年4月 (平成26年) | 国の登録有形文化財になる |