6mミリ波電波望遠鏡

6mミリ波電波望遠鏡

6mミリ波電波望遠鏡は、東京大学東京天文台(現在の国立天文台)の三鷹キャンパス内に1970年に完成した、世界で3番目、国内では初めてのミリ波電波望遠鏡です。当時、研究者と技術者が試行錯誤を重ねて完成させたこの電波望遠鏡は、直径6メートルと小型でありながらも、新たな星間分子の検出、オリオン星雲や天の川銀河の中心領域での星間分子の分布観測など、画期的な成果を挙げ、日本の宇宙電波天文学の黎明(れいめい)期を支えました。

6mミリ波電波望遠鏡で培った技術は、当時世界最大・最高性能のミリ波望遠鏡として1982年に完成した野辺山宇宙電波観測所45メートル電波望遠鏡に結実しました。また、45メートル電波望遠鏡による数々の研究成果は、南米チリのアルマ望遠鏡での観測研究にも引き継がれ、現在の宇宙電波天文学の飛躍的な発展につながっています。

日本の宇宙電波観測の中心が野辺山に移った後、6mミリ波電波望遠鏡は三鷹での運用を終え、水沢キャンパス、野辺山キャンパスとその活躍の場を移しVLBI観測に貢献しました。その後はさらに鹿児島県の錦江湾公園に移設され、鹿児島大学を中心とした観測研究活動でVLBI観測網の一翼を担いました。鹿児島での運用終了後は再び三鷹の地に戻り、2018年10月からは日本の宇宙電波天文学の歩みを伝える重要な歴史的資産として、三鷹キャンパスの一般見学エリアで保存・公開されています。

この望遠鏡は、第2回(2019年度)日本天文遺産に認定されました。

概要

6mミリ波電波望遠鏡
アンテナ直径6メートル
鏡面誤差0.14ミリメートル
パラボラ鏡面製作三菱電機鎌倉製作所
回転架台製作法月鉄工(現・法月技研)
主な観測内容ミリ波星間分子観測による新たな星間分子の探査・検出、星間分子の分布観測、メーザーの変動観測、VLBI観測
備考第2回(2019年度)日本天文遺産
略歴
1968年
(昭和43年)
三鷹キャンパスにて建設開始
1970年
(昭和45年)
東京都三鷹市・東京大学東京天文台(現・国立天文台)にて完成
1988年
(昭和63年)
岩手県・水沢観測センター(現・水沢VLBI観測所)に移設
1989年
(平成元年)
長野県・野辺山宇宙電波観測所に移設
1992年
(平成4年)
鹿児島県・錦江湾公園に移設
2018年
(平成30年)
国立天文台三鷹キャンパスに移設、保存・公開

このページをシェアする