X線で見た皆既日食

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太陽観測衛星「ひので」に搭載されたX線望遠鏡が捉えた皆既日食です。この日(2007年3月19日)、食分(欠け具合)が小さい部分日食が日本海側で観測されましたが、「ひので」では皆既日食となりました。

なぜ、X線で太陽を観測するの?

太陽から宇宙空間に広がる100万度以上のコロナは、コロナからの光が非常に弱いため、皆既日食の時にしか地上から見ることができません。一方、人工衛星や変電所の故障を引き起こし、我々の生活にも影響をおよぼす太陽フレアやコロナ質量放出はコロナで発生します。数分間しか続かない皆既日食の観測データでは、これらの現象を研究することはできません。そこで我々は100万度以上というコロナの温度を利用します。100万度以上の気体はX線を放射しますが、それ以下の温度の気体からはX線が放射されません。コロナ以外に太陽大気中で100万度以上のものはありませんので、X線を観測すればコロナだけを常時観測することが可能です。ただし、太陽からのX線は地球の大気で吸収されてしまうので、人工衛星による観測が必須です。 X線で見た皆既日食は、元からコロナしか見えていないので、地上で見るような神秘的でダイナミックな変化はありません。しかし、皆既日食のデータは望遠鏡の性能を調べるために非常に重要です。

文:下条圭美(チリ観測所)

映像データ

天体太陽
望遠鏡太陽観測衛星「ひので」
観測装置X線望遠鏡
波長軟X線(数Å~100Å)
露出4秒
撮影日時2007年3月19日11時55分(日本時間)
著作権国立天文台/JAXA

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