天文情報センターによる、ルーリン彗星の尾のシミュレーション結果です。
ルーリン彗星は、2月24日のお昼頃に地球に最も近づきますので、3月1日は、接近から約5日過ぎ、地球と彗星が徐々に離れ始めた頃になります。
地球−彗星−太陽がなす角は、2月26日に0度となり、地球から見て太陽と彗星がほぼ反対方向に見られました。それ以降は、この位置関係が逆になります。このため、彗星に対して太陽とほぼ反対方向に伸びるガスの尾(イオンの尾)は、彗星をはさんでそれまでと逆側に伸びて見られるようになります。
ただし、地球から見て彗星のほぼ向こう側(奥側)となっており、かなり短い状態が続きます。
曲がって分布するダストの尾は、引き続き、伸びて見えそうです。
図は、地球軌道面を真上から(注)見たものです。またルーリン彗星の軌道面は、地球軌道面に対して、約1.4度しか傾いていませんので、ルーリン彗星の軌道面に対しても、ほぼ真上から見ていると考えて差し支えありません。
注:わかりやすく「真上から」と表現しましたが、正しくは「軌道面に対して北側で垂直な方向から」です。
図は、地球から見た彗星の尾の見え方を示しています。図の中心がルーリン彗星の本体です。
ガスの尾は、2月26日以前とは逆転し、彗星の東側(図の左側)に位置するようになります。しかし、3月1日は、まだ図の向こう側(奥側)に伸びてしまっているため、かなり短くなります。ダストの尾の方向とも重なるため、もしかしたらほとんど見えないかもしれません。
一方で、ダストの尾は彗星の東側(図の左側)に引き続き伸びて見えそうです。
ダストの尾は、一般的に彗星の軌道面に沿って幅広く分布します(前述の位置関係の図参照)。しかし、ルーリン彗星の軌道は、地球軌道と約1.4度しか傾いていません。したがってこの図は、ルーリン彗星の軌道面をほぼ真横から見た図になっています。このため、ダストの尾の幅が、ほとんど広がりません。
なお、図中には彗星のコマの部分が描画されていません。ルーリン彗星は地球に比較的接近するため、コマが大きく見えることが予想されます。彗星本体付近では、このコマと尾が重なって見られ、彗星全体としての見え方は、図と異なりますので、ご注意ください。