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世界天文年2009 オープニングイベント

見えるかな年の初めの流星群 2009.1.2〜5

流星と流星群 | しぶんぎ座流星群の特徴 | しぶんぎ座流星群を観察するには | 関連リンク集

「見えるかな年の初めの流星群」キャンペーンについて

 国立天文台では、多くの方に夜空を眺める機会を持っていただこうと企画しているキャンペーンのひとつとして、2009年早々に活動するしぶんぎ座流星群を対象にして、「見えるかな年の初めの流星群」キャンペーンをおこないました。1月2日の夜から5日の朝までの3夜の間に15分間以上星空を眺め、結果を報告ページから報告していただこうというものです。

 今回は1572件(うち有効な報告は1517件)のご報告をいただきました。たくさんのご報告ありがとうございました。
→ 最終集計結果はこちらをご覧ください。


「見えるかな年の初めの流星群」キャンペーン QRコード 携帯電話用のキャンペーンページへは、http://www.nao.ac.jp/i/phenomena/20090102/index.html からアクセスしてください。

 また、携帯電話用には、通常の報告ページだけでなく「初級編」も実施しました。
 → 携帯電話用最終報告結果はこちらをご覧ください。


速報画像

しぶんぎ座流星群の写真(2009年1月4日)
  2009年のしぶんぎ座流星群の写真
  (1月4日2時頃・画像の一部をトリミング)
  クリックすると拡大します。

速報ムービー

2009年1月4日撮影の流星のムービーです。
撮影:国立天文台天文情報センター

リアルタイム集計について

 前回のキャンペーンから、流星群の活発さの変化をほぼリアルタイムでご覧いただけるように、報告された流星の1時間ごとの平均数を10分おきに自動集計し、インターネット上で公開しています。

もっと詳しく観察したい!

 流星を眺めて楽しむだけでなく正式な観測をしたいという方向けに、上級者向けページも用意しました。上級者向けといっても、いくつかの点に注意すれば、始めるのはそれほど難しくありません。

→上級者向け観察の詳細ページはこちら

「世界天文年」に「三大流星群」をぜんぶ見よう!

世界天文年ロゴ IYA2009 2009年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡を夜空に向け、宇宙への扉を開いた1609年から400年経った節目の年として、国際連合・ユネスコ・国際天文学連合によって「世界天文年」と定められました。国立天文台ではこの2009年に、「世界天文年2009日本委員会公認イベント」として、「三大流星群」と呼ばれる3つの流星群を対象にして、それぞれの活動時期に合わせた3つのキャンペーンをおこなうことにしました。その中で最初のキャンペーンであるこのキャンペーンは、「世界天文年2009 オープニングイベント」のひとつとして実施します。

 3つのキャンペーンに参加して、あらためて星空の美しさや宇宙の不思議に触れてみませんか。もちろん、3つのキャンペーンすべてに参加しなければいけないということではありません。都合のよいキャンペーンに参加していただければ結構です。

 今回のキャンペーンに参加して観察結果の報告後にメールアドレスを登録すると、次のキャンペーンのお知らせをそのアドレスにお届けします。ぜひ登録をお願いします。

→ 主な流星群の2009年の活動については「世界天文年の流星群」

流星と流星群

流星と流星群の関係を示したイメージ画像

流星と流星群の関係を示したイメージ画像です。
実際のしぶんぎ座流星群の母彗星とは
軌道が異なりますのでご注意ください。
(クリックすると大きな画像をご覧になれます)

 流星(「流れ星」とも言います)とは、宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて、大気と激しく摩擦を起こし、高温になると同時に光って見える現象です。

 彗星はこのようなチリの粒を軌道上に放出していて、チリの粒の集団は、それを放出した彗星の軌道上に密集しています。彗星の軌道と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、チリの粒がまとめて地球の大気に飛び込んできます。地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期に特定の流星群が出現するわけです。

 このとき、地球に飛び込んでくるチリの粒はみな同じ方向からやってきます。それぞれのチリの粒はほぼ平行に地球の大気に飛び込んできますが、それを地上から見ると、その流星群に属している流星は、星空のある一点から放射状に飛び出すように見えます。流星が飛び出す中心となる点を「放射点」と呼び、一般には、放射点のある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼ばれます。

 流星の出現数ですが、流星群の放射点が地平線付近にあるときには、チリが大気にななめから飛び込んでくるためにチリの数は少なく、流星はほとんど出現しません。流星群の活動の活発さが変わらないと仮定すると、放射点の高度が高くなるにしたがって流星の出現数は多くなります。

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しぶんぎ座流星群の特徴

しぶんぎ座流星群の写真(1970年1月4日)

2つの流星が写っていて、
流星が放射状に出現しているのがわかります。
(クリックすると大きな画像をご覧になれます)
【撮影:小関高明、1970年1月4日】

 「しぶんぎ座」という名前は、現在では存在しない「壁面四分儀座」という星座に由来しています。星座は無くなっても、流星群の名前としてはそのまま使われているわけです。しぶんぎ座流星群の放射点は現在のりゅう座とうしかい座の境界あたり、りゅう座ι(イオタ)星付近にあります。このため、しぶんぎ座流星群は「りゅ う座ι流星群」という通称で呼ばれることもあります。

 しぶんぎ座流星群は、毎年1月4日ころを極大として活動している流星群です。(流星群が最も活発に活動する時期のことを「極大」と呼びます。)

 1年の間にはたくさんの流星群が活動しています。その中でも、しぶんぎ座流星群は、8月の「ペルセウス座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並んで、「三大流星群」のひとつに数えられます。これら3つの流星群が、毎年比較的安定して、まとまった数の流星を見せてくれるからです。ただ、ペルセウス座流星群やふたご座流星群が、極大日を中心に数日間の活動を続けるのに比べ、しぶんぎ座流星群の極大は数時間程度しか続きません。そのため、極大が日本でちょうど観察に適した時刻に当たればたくさんの流星を見られる可能性がありますが、そうでない場合にはほとんど流星を見ることができません。

 2009年のしぶんぎ座流星群は、(日本時間で)1月3日夜から4日未明までの間に極大が訪れると予想されています。

 極大が観察しやすい時刻に当たり、空の暗い場所で観察ができれば、1時間に数十個の流星を見ることができるかもしれません。

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しぶんぎ座流星群を観察するには

どんな道具が必要?

 望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で観察してください。
(望遠鏡や双眼鏡を使用すると、見ることのできる範囲がたいへん狭くなるために、かえって観察しづらくなります。)

どんな場所で見ればよい?

 地域で考えると、日本全国どこでも見ることができます。(南半球の中・高緯度地域を除く、地球上のほぼ全域で流星が出現します。)

 流星を観察する場所ですが、できるだけ、街灯など人工の明かりが少ない場所を選びましょう。流星などほとんどの天体が出す光は、街灯の明かりなどに比べるととても弱いものです。人工の明かりが少なければ、人工の明かりに邪魔されて見ることができなかった暗い流星も見ることができるようになり、それだけ、多くの流星を見ることができます。

 また、大都市には人工の明かりがたくさんあります。大都市から離れることでも、暗い流星を見ることができるようになります。

いつ見ればよい?

 しぶんぎ座流星群の場合、真夜中より前には放射点が地平線の下にあるか高度が低いため、流星は(ほとんど)出現しません。放射点の高さだけで考えると、真夜中以降に流星が出現し始め、本格的に出現するのは3時以降です。その後は、明け方6時頃に空が白み始めるまで観察することができます。

 一方、しぶんぎ座流星群は、流星群が活発に活動する期間が、数時間程度とたいへん短いという特徴があります。極大は1月3日夜から4日未明までの間に訪れると予想されています。1月4日の3時半頃に極大となることが多く、そうなれば、しぶんぎ座流星群を日本で観察するのに適した状況となります。ただ、極大時刻はずれる可能性もあり、実際には観察してみるまでわかりません。極大が、真夜中より前や空が明るくなる以降にずれてしまうと、ほとんど流星を見ることができない可能性もあります。

 また、月明かりも、たくさんの流星を観察できるかどうかに大きく影響します。明るい月があると、月明かりに邪魔されて暗い流星が見えなくなり、観察できる流星数は減ってしまいます。しかし、2009年のしぶんぎ座流星群では、1月3日の日の入り後には半月に近い月が見えていますが、その月は夜中前に沈んでしまいます。それから朝までは、月明かりの影響を受けずに流星を観察することができますので、好条件であると言えます。

 極大の時刻を確実に予想することができませんので、いちばん多く流星が見えるのが何時頃になるのかははっきりわかりません。確実に言えることは、流星をたくさん見るためには、なるべく長い時間観察するのがよいということです。

 今回のキャンペーンでは1月2日の夜から5日の明け方にかけて空を眺めるよう呼びかけています。極大前後とそうでないときで流星の出現数がどのように変化するのかを知るためにも、極大の夜以外にもなるべく観察をしてみてください。

→ 各地の日の出時刻を調べるには、暦計算室の「こよみの計算」へ
※ 空が明るくなり始めるのは、日の出の約1時間半前です。

どの方向を見る?

1月4日午前3時頃 東京の星空

(クリックすると大きな画像をご覧になれます)

 しぶんぎ座流星群の放射点はりゅう座ι(イオタ)星の近くにありますが、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではなく、流星は夜空のどこにでも現れます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多く、一方、放射点から離れた方向では、流星の軌跡を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多く観察されます。

 ですから、放射点の方向にはあまりこだわらず、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるようにしましょう。空をより広く見渡しているほうが、より多くの流星を捉える可能性が高くなります。

 図は、1月初旬午前3時頃の、北東の方角の星空を示しています。
星は日周運動によって動いています。3時よりも何時間も前や、3時から何時間も経つと、星の見える位置がこの図とは違いますのでご注意ください。(見る場所による差はあまりありませんので、東京以外でもこの図を利用できます。)

しぶんぎ座流星群の流星かどうかはどうやってわかる?

 ひと晩のうちには、どの流星群にも属していない流星もいくつか出現します。このように「群」に属さない流星は「散在流星」と呼ばれます。そのため、この時期に流星を見たからといって、その流星が必ずしぶんぎ座流星群の流星であるとは限りません。

 自分が見た流星がしぶんぎ座流星群の流星かどうかを判断するには、その流星の軌跡を逆方向に伸ばしてみます。たどった先がしぶんぎ座流星群の放射点を通れば、その流星はしぶんぎ座流星群の流星である可能性が高いと考えることができます。(流星群の流星は、その放射点を中心にして放射状に出現することを思い出してください。)

→群流星の見分け方について、さらに詳しい解説はこちら

 放射点の位置については、国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」もご利用ください。代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)といっしょに、しぶんぎ座流星群の放射点の位置を調べることができます。

→暦計算室「今日のほしぞら」([しぶんぎ放射点]と表示されています)

他に注意することは?

 遅い時刻に屋外で行動することになりますので、周囲の安全には十分に気を付け、事故などの危険に巻き込まれないようにしてください。特にお子さんは、保護者の方と一緒に行動するようにしましょう。また、まわりの皆さんの迷惑にならないよう気をつけてください。

 明るい屋内から屋外に出てすぐには、目が暗さに慣れていません。何分か屋外にいて目を慣らしてから、やっと星空や流星などの暗いものが見えるようになります。屋外に出て流星が見えないからといってすぐにあきらめてしまわずに、目が慣れるまでしばらく(15分ぐらい)待つことも必要です。

 また、普段の生活では、冬の夜に何十分も屋外でじっとしている経験をすることは、なかなかないことかもしれません。寒さには十分注意してください。普段夜間に外出するときよりもさらに厚着をすることをお勧めします。カイロなどを使うのもよいかもしれません。

もっと詳しく観察したい!

→上級者向け観察の詳細ページはこちら

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