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「皆既月食どんな色?」 結果解説(速報版)

 8月28日の「皆既月食どんな色?」キャンペーンに、たくさんのご報告を頂き、ありがとうございました。
 まだ報告受付中だった29日10時時点までのデータにおきまして、今回の皆既月食の色の結果を速報として解説いたします。

 ※8月31日に「時間帯ごとの集計結果」を追加しました。合わせてご覧ください。

結果解説(速報版)

集計結果(暫定・8月29日10時00分時点)

 8月29日10時の時点(以下同じ)で、2084件のご報告を頂いております。このうち観察結果の集計(暫定)は次の通りでした。
(この表では「晴れていたが月が見つからなかった」「天気が悪くて月が見えなかった」を除いてあります)

0.黒1.灰または
こげ茶
2.暗い赤3.明るい赤4.オレンジ
16件301件934件244件323件
1%17%51%13%18%

色の見本の図
※図は色の見本です。(画像をクリックすると大きな画像をご覧いただけます)

 一番多い観察報告は「2.暗い赤」で、半数を超える51%の報告がありました。次に多かったのは「4.オレンジ」の18%で、さらに「1.灰またはこげ茶」が17%と続きます(数字はダンジョンのスケールを表します)。

 ダンジョンのスケールの数値を単純に平均した結果は「2.3」となり「2.暗い赤」と「3.明るい赤」の中間で、少し「2.暗い赤」に近い状態だったことがうかがわれます。この点から見ると、およそ平均的な「赤黒い皆既月食」だったと言えるのではないでしょうか。

 一方で、「3.明るい赤」(13%)よりも、さらに明るい「4.オレンジ」(18%)の方が多いという結果となっていて、興味深いです。現段階では、観察時間帯ごとの集計を行っておりませんが、観察時刻で色が変わった可能性があります(詳しくはこちらの質問集をご参照ください)。
 また今回は、とくに皆既食の前半では月が低い空にあり、大気中のチリや水蒸気の影響で実際より暗めに見られた可能性もあります(詳しくはこちらの質問集をご覧ください)。とくに、西日本ほど月の出が遅く、月が空のより低い位置での観察となりました。また観察地点での大気の状況によっても見え方が変わる可能性があり、これらによって結果に影響が出たのかもしれません。

 なお、「天気が悪くて見えなかった」という方も247件(全体の12%)ご報告を頂きました。ありがとうございました。今回の月食、実際にはもっと多くの方が、悪天候で見られなかったのではないかと思われます。今回見られなかった方は、ぜひ次回の皆既月食(2010年12月21日、詳しくはこちらの質問集をご参照ください)にご期待ください。

時間帯ごとの集計結果(8月31日追加・受付終了時点まで)

 お問い合せが多いため、時間帯ごとの集計結果を以下のグラフに示します。データは受付終了時点まで含めてあります。
(注:現在、データは集計途中ですので、最終的な結果では、数値が若干変わる可能性があります。あらかじめご了承ください。)
 なお、最終時点で3138件(暫定、一部の重複分を含む)のご報告を頂きました。ありがとうございました。

色の見本の図

地球の影に対する月の動き

画像をクリックすると
大きな画像をご覧いただけます

 まず、皆既のはじめの時間帯(18時52分〜19時22分)では、色の尺度の平均値は2.20という結果でした。
 また、まん中の時間帯(19時23分〜19時52分)では、平均値が2.16とやや小さくなりました。グラフからも「4.オレンジ」が減るなど、最も暗い色で見られたことがわかります。
 皆既の終わりの時間帯(19時53分〜20時22分)では、いぜん「2.暗い赤」が最も多いものの、約48%と若干少なくなり、一方で「4.オレンジ」が約21%とかなり多くなりました。平均値も2.41と大きくなり、明るい色に変わったことがわかります。

 このような色の変化には、2つのことが影響したと考えられます。まずは(地球の)本影の中の光の分布が違うことにより、本影の中を移動している月の色そのものが変化したと推測されます。本影の中は、一般的に中心に近いほど届く光が減るため、暗い色となっています。このため、月が本影の中心に近い、まん中の時間帯では、皆既中の月も暗い色で見られたようです。
 一方、終わりの時間帯では、月が本影の縁の近くにあります。本影の縁に近い部分では、一般的に届く光が多く、月も明るめの色で観察されたと考えられます。

 これに対し、皆既のはじめの方の時間帯では、まん中の時間帯とさほど傾向が変わらず、終わりの方よりも暗い色で観察されました。本来は皆既のはじめの時間帯も、月が本影の縁に近い位置にあるため、明るい色で見られるはずです。しかし今回、この時間帯では、月が地平線に近い低い空にあるため、地球の大気中の水蒸気やチリの影響を受けてしまい、皆既中の月そのものの色よりも暗く感じられたのかもしれません。

 なお、これらは8月31日時点での集計途中での見解です。最終的な集計結果では、さらに詳しく検討する予定です。


 さらに詳しい最終的な集計結果につきましては、後日掲載いたします。おそれいりますが、もうしばらくお待ちください。

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