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2007年8月28日皆既月食の質問集

 解説ページで説明できなかった、さらに詳しい内容について、質問形式でまとめました。解説ページと合わせてご参照ください。
 なお、皆既月食中の月が赤くなる理由につきましては、こちらの「皆既月食中の月の色について」のページにて詳しく解説しております。ご参照ください。

質問の内容(クリックすると各質問と解説の内容にジャンプします)

月食全般について

キャンペーンの内容について

月食全般についての質問集

[問] 満月のたびに月食が起こらないのは、なぜですか?

屈折と散乱の説明図

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 月の通り道(白道)が、太陽の通り道(黄道)に対してずれているからです。

 地球が太陽のまわりを回る軌道面(黄道面)と、月が地球のまわりを回る軌道面には、傾き(ズレ)があります。地球の軌道面を天球に延長した線を黄道と言います。地球から見たときの見かけの太陽の位置は、この黄道に沿って移動します。また地球の影の中心は、太陽と正反対の方向にできますので、やはり黄道に沿って移動します。一方、月の軌道面を天球に延長した線は白道といい、地球から見たときの月の動きは、この白道に沿って移動します。黄道と白道の交差点の近くに月が位置し、このときに満月になると、地球の影に入り月食が起こるのです。しかし普段の満月は、黄道と白道が離れた場所で起こるので、地球の影の北や南に月がそれて、月食は起こらないのです。

 多い時には、約半年ごとに3回の皆既月食が起こる年(1982年など)もありますが、一方で数年間皆既月食が起こらないこともあります。

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[問] 前回見られた皆既月食はいつでしたか? また次回はいつ見えるのですか?

 全国で見えるものとしては、前回の皆既月食は2001年1月10日に起こりました。
 次回、同様にほぼ全国で見られる皆既月食は、2010年12月21日に起こります。

 近年の皆既月食を下の表にまとめます。半分以上は日本の昼間の時間帯に起こり、月が昇っていないため見られません。また2004年5月5日の明け方の皆既月食は、西日本では皆既月食が見られましたが、皆既中に月が沈んでしまう条件の悪いものでした(東日本では皆既になる前に沈んでしまい、見られませんでした)。

 2010年12月21日は、(南西諸島の一部を除き)全国で皆既月食が見られます。ただし、西日本では皆既中に月が昇ってくるため、今回よりも条件は悪いと言えるでしょう。
 なお、表のほか、皆既食とはならず、部分月食しか起こらない月食があります。

◆近年の皆既月食
日付皆既食の時刻日本での状況
2001年1月10日4時49分〜5時52分全国で見られる
2003年5月16日12時14分〜13時06分見られない
2003年11月9日10時06分〜10時31分見られない
2004年5月5日4時52分〜6時08分西日本でのみ皆既が見られる(※1)
2004年10月28日11時23分〜12時45分見られない
2007年3月4日7時44分〜8時58分見られない
2007年8月28日18時52分〜20時23分全国で見られる
2008年2月21日12時00分〜12時51分見られない
2010年12月21日16時40分〜17時54分全国で見られる(※2)
※1:東日本では部分食の最中(皆既の前)に月の入り(見られず)、西日本では皆既食の最中に月の入り
※2:南西諸島の一部では皆既食終了後に月の出(見られず)、西日本では皆既食の最中に月の出

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[問] 皆既月食の最中に、月の色は変化しますか?

 大きく変化することもありますし、あまり変化しない場合もあります。

 地球の影に差し込む淡い赤黒い光は、地球の色々な部分の大気を通過しています。このため、その影の中には濃淡があります。地球の大気の中でチリが多い部分があったりすると、その部分を通過する光があまり影に届かずに、黒っぽい部分となることもあります。

 またこのほかに、次の項の地平線からの高度が低い場合の大気の影響で、変化する可能性もあります(次の項参照)。

 今回のキャンペーンでは、皆既中を3つの時間帯に分けています。もしよろしければ、それぞれの時間帯でどのような色に見えたか、ご報告ください。

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[問] 地平線に近い低い空に月があるとき、色の見え方は影響を受けませんか?

 影響を受ける可能性がありますが、どのくらい影響があるかは、月の高度や観察地の大気の状態で変わります。

 一般的に太陽や月が地平線近くにあるときには、大気の影響を受けて赤っぽく見られます(詳しくは「よくある質問」の「質問2-3) 月が赤く見えるときがあるのはなぜ?」をご参照ください)。今回は皆既食のはじめの頃、月が空の低い位置にあります。このため皆既月食中の月もこの影響を受けて、本来の色よりも赤っぽく見えたり、やや暗めになって黒っぽく見えるかもしれません。しかし目で見てどの程度影響があるかは、正直なところ観察してみないとわかりません。今回のキャンペーンでは、ぜひ見えたままの月の色をご報告ください。

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[問] 部分食の時には、本影(地球の影)に色は付かないのですか?

 本当は色が付いているのですが、皆既中と比べると目立ちません。

 部分食のときも、本影の部分(欠けている部分)には皆既中と同様の色が付いています。しかし、(欠けていない)明るい部分との明るさの差が大きいため、色がはっきりとはわかりません。

 ただし、半分以上欠けている時など、明るい部分の面積が小さくなっている場合は、本影の部分に色が付いて見えることがあるでしょう。

 キャンペーンへの報告は、色がよりわかりやすい、皆既中の時間帯のみご報告くださるよう、お願いします。

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キャンペーンの内容についての質問集

[問] キャンペーンの色の報告は、何度してもいいのですか?

 3つに分けた各時間帯ごとに1度、つまり3度ご報告してもらって構いません。もちろん1回だけでも結構です。

 今回の皆既月食は約1時間半も続きます。前の方の項目で述べましたが、この間に月の色が変化する可能性があります。キャンペーンでは、観察の時間帯を3つの時間帯に分けていますので、この時間帯ごとに1度ずつ、計3度ご報告頂いて構いません。もちろん、1回だけの観察結果をご報告頂くだけでも結構です。

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[問] 望遠鏡や双眼鏡を持っていますが、機材を使って観察した色を報告してもよいですか?

 もちろん構いません。できれば、ぜひ目(肉眼)で観察した結果もご報告ください。

 今回のキャンペーンでは、機材がなくても観察できる月食が対象となっております。様々な方の観察結果をなるべく同じ条件にするためにも、ぜひ目(肉眼)で観察した結果をご報告頂きたいと思います。その上で、機材を使った場合の結果も、別にご報告頂ければと思います。

 なお、機材を用いて観察した場合ですが、機材によって、実際より色が明るく見える場合も、色が暗く感じる場合もあるようです。

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