解説ページで説明できなかった、さらに詳しい内容について、質問形式でまとめました。解説ページと合わせてご参照ください。
なお、皆既月食中の月が赤くなる理由につきましては、こちらの「皆既月食中の月の色について」のページにて詳しく解説しております。ご参照ください。
月の通り道(白道)が、太陽の通り道(黄道)に対してずれているからです。
地球が太陽のまわりを回る軌道面(黄道面)と、月が地球のまわりを回る軌道面には、傾き(ズレ)があります。地球の軌道面を天球に延長した線を黄道と言います。地球から見たときの見かけの太陽の位置は、この黄道に沿って移動します。また地球の影の中心は、太陽と正反対の方向にできますので、やはり黄道に沿って移動します。一方、月の軌道面を天球に延長した線は白道といい、地球から見たときの月の動きは、この白道に沿って移動します。黄道と白道の交差点の近くに月が位置し、このときに満月になると、地球の影に入り月食が起こるのです。しかし普段の満月は、黄道と白道が離れた場所で起こるので、地球の影の北や南に月がそれて、月食は起こらないのです。
多い時には、約半年ごとに3回の皆既月食が起こる年(1982年など)もありますが、一方で数年間皆既月食が起こらないこともあります。
全国で見えるものとしては、前回の皆既月食は2001年1月10日に起こりました。
次回、同様にほぼ全国で見られる皆既月食は、2010年12月21日に起こります。
近年の皆既月食を下の表にまとめます。半分以上は日本の昼間の時間帯に起こり、月が昇っていないため見られません。また2004年5月5日の明け方の皆既月食は、西日本では皆既月食が見られましたが、皆既中に月が沈んでしまう条件の悪いものでした(東日本では皆既になる前に沈んでしまい、見られませんでした)。
2010年12月21日は、(南西諸島の一部を除き)全国で皆既月食が見られます。ただし、西日本では皆既中に月が昇ってくるため、今回よりも条件は悪いと言えるでしょう。
なお、表のほか、皆既食とはならず、部分月食しか起こらない月食があります。
日付 | 皆既食の時刻 | 日本での状況 |
---|---|---|
2001年1月10日 | 4時49分〜5時52分 | 全国で見られる |
2003年5月16日 | 12時14分〜13時06分 | 見られない |
2003年11月9日 | 10時06分〜10時31分 | 見られない |
2004年5月5日 | 4時52分〜6時08分 | 西日本でのみ皆既が見られる(※1) |
2004年10月28日 | 11時23分〜12時45分 | 見られない |
2007年3月4日 | 7時44分〜8時58分 | 見られない |
2007年8月28日 | 18時52分〜20時23分 | 全国で見られる |
2008年2月21日 | 12時00分〜12時51分 | 見られない |
2010年12月21日 | 16時40分〜17時54分 | 全国で見られる(※2) |
大きく変化することもありますし、あまり変化しない場合もあります。
地球の影に差し込む淡い赤黒い光は、地球の色々な部分の大気を通過しています。このため、その影の中には濃淡があります。地球の大気の中でチリが多い部分があったりすると、その部分を通過する光があまり影に届かずに、黒っぽい部分となることもあります。
またこのほかに、次の項の地平線からの高度が低い場合の大気の影響で、変化する可能性もあります(次の項参照)。
今回のキャンペーンでは、皆既中を3つの時間帯に分けています。もしよろしければ、それぞれの時間帯でどのような色に見えたか、ご報告ください。
影響を受ける可能性がありますが、どのくらい影響があるかは、月の高度や観察地の大気の状態で変わります。
一般的に太陽や月が地平線近くにあるときには、大気の影響を受けて赤っぽく見られます(詳しくは「よくある質問」の「質問2-3) 月が赤く見えるときがあるのはなぜ?」をご参照ください)。今回は皆既食のはじめの頃、月が空の低い位置にあります。このため皆既月食中の月もこの影響を受けて、本来の色よりも赤っぽく見えたり、やや暗めになって黒っぽく見えるかもしれません。しかし目で見てどの程度影響があるかは、正直なところ観察してみないとわかりません。今回のキャンペーンでは、ぜひ見えたままの月の色をご報告ください。
本当は色が付いているのですが、皆既中と比べると目立ちません。
部分食のときも、本影の部分(欠けている部分)には皆既中と同様の色が付いています。しかし、(欠けていない)明るい部分との明るさの差が大きいため、色がはっきりとはわかりません。
ただし、半分以上欠けている時など、明るい部分の面積が小さくなっている場合は、本影の部分に色が付いて見えることがあるでしょう。
キャンペーンへの報告は、色がよりわかりやすい、皆既中の時間帯のみご報告くださるよう、お願いします。
3つに分けた各時間帯ごとに1度、つまり3度ご報告してもらって構いません。もちろん1回だけでも結構です。
今回の皆既月食は約1時間半も続きます。前の方の項目で述べましたが、この間に月の色が変化する可能性があります。キャンペーンでは、観察の時間帯を3つの時間帯に分けていますので、この時間帯ごとに1度ずつ、計3度ご報告頂いて構いません。もちろん、1回だけの観察結果をご報告頂くだけでも結構です。
もちろん構いません。できれば、ぜひ目(肉眼)で観察した結果もご報告ください。
今回のキャンペーンでは、機材がなくても観察できる月食が対象となっております。様々な方の観察結果をなるべく同じ条件にするためにも、ぜひ目(肉眼)で観察した結果をご報告頂きたいと思います。その上で、機材を使った場合の結果も、別にご報告頂ければと思います。
なお、機材を用いて観察した場合ですが、機材によって、実際より色が明るく見える場合も、色が暗く感じる場合もあるようです。