報告の受付は終了しました。皆様、ご協力ありがとうございました。
国立天文台では、できるだけ多くの人に流れ星を眺めてもらおうと、流星数が最も多くなると思われる13日の夜から14日の夜に「ふたご座流星群を眺めよう」というキャンペーンをおこないました。この夜の20時〜24時(午後8時〜午後12時)の間に、15分ほど夜空を観察してもらい、その間に何個の流れ星を見ることができたかを報告ページ゙から報告していただきました。
キャンペーンの結果はこちらからご覧ください。
携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/ からアクセスしてください。
写真は、2004年のふたご座流星群の流星です。
画像をクリックすると大きな画像をご覧いただけます。
日時:2004年12月14日 3時23分40秒〜24分10秒(露出30秒)
機材:EOS Kiss Digital 20mm f2.8(開放)ISO 1600に設定
場所:茨城県常陸大宮市
流星(「流れ星」とも言う)とは、宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて、大気と激しく摩擦を起こし、高温になって光って見える現象です。
彗星はこのようなチリの粒を軌道上に放出しています。チリの粒の集団は、それを放出した彗星の軌道上に密集しています。彗星の軌道と地球の軌道が交差しているところでは、チリの粒がまとめて地球の大気に飛び込んできます。地球が彗星の軌道を横切る日時はほぼ毎年決まっていますので、特定の時期に特定の流星群が出現するわけです。
このとき、地球に飛び込んでくるチリの粒は同じ方向からやってきます。それぞれのチリの粒はほぼ並行に地球の大気に飛び込んできますので、それを地上から見ると、その流星群に属している流星は、ほしぞらのある一点から放射状に飛び出すように見えます。流星が飛び出す中心となる点を「放射点」と呼び、放射点がある星座の名前で「○○座流星群」と呼ばれます。なお、放射点が地平線付近にあるときは、ほとんど流星は出現しません。流星群の活動が同じだと仮定すると、放射点の高度が高くなるにしたがって流星の出現数は多くなります。
ふたご座流星群は、毎年12月13日ごろを中心に活動している流星群です。世界的に見ると、今年はおおよそ14日の15時〜17時頃に最も多くの流星が出現するだろうと予想されていますが、ふたご座流星群の活動は数日間続きますので、極大の前後にも流星の出現が期待できます。
ふたご座流星群は、流星を初めて眺めようという人にもお勧めです。
その理由のひとつは、流星数が多いことです。毎年、ほぼ決まって、たくさんの流星が出現します。1月のしぶんぎ座流星群・8月のペルセウス座流星群と並んで「三大流星群」と呼ばれています。十分に暗い夜空で晴天に恵まれれば、1時間に30個を越える流星を見ることができます。
ふたつ目の理由は、夜中前にも流星が出現することです。三大流星群のうちペルセウス座流星群やしぶんぎ座流星群は、流星が出現するのは、どちらも深夜から明け方にかけてが中心です。真夜中前から出現するふたご座流星群は、こどもにとっても観察しやすい流星群といえるでしょう。
また今年とくにお勧めする理由は、夜中前までは月明かりの影響を受けることなく観察できることです。明るい月があると、暗い流星が見えなくなり、観察できる流星数は減ってしまいます。同じ時期であっても月の状態は年によって違います。今年の状況は、月の出が13日も14日も24時以降なので、20時頃から24時までは、月明かりの影響を受けることなく観察できます。
望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で見てください。
日本全国、どこでも見ることができます。(南極を除く地球全体で流星が出現します。)
できるだけ大都市から離れ、近くに街灯など人工の明かりがない場所を選びましょう。
流星などの天体は、大都市や街灯の明かりに比べてとても弱い光しか出していません。人工の明かりの影響があると、暗い流星は人工の明かりに邪魔されて、見ることができず、それだけ、見られる流星の数が減ってしまいます。
ふたご座流星群の場合、放射点は夕方に東の方角にあり、真夜中にほぼ天頂を通って、明け方には西の地平線に傾いていきます。放射点が一晩中夜空にあるため、ふたご座流星群は、ほぼ一晩みることができるのです。ただし、今年は24時以降は月がのぼってくるため、月明かりの影響があります。
今回のキャンペーンでは12月13日と14日の20時から24時までの間に空を眺めるよう呼びかけています。また、13日や14日の夜を中心に、前後1週間ぐらいは流星群が活動していますので、極大の時より少なくはなりますが、他の夜にも流星を見る機会はあります。
ふたご座流星群の放射点はふたご座にありますが、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではなく、流星は夜空のどこにでも現れます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多くなります。一方、放射点から離れた方向では、流星を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多く観察されます。
ですから、放射点の方向にはあまりこだわらず、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるようにしましょう。空をより広く見渡しているほうが、より多くの流星を捉える可能性が高くなります。
図は、12月中旬、22時(午後10時)頃、東の方角の星空を示しています。
星は日周運動によって動いています。午後10時を過ぎて時間が経つと、星の見える位置がこの図とは違っていきますのでご注意ください。(見る場所による差はあまりありませんので、午後10時であれば東京以外でもこの図を利用できます。)
明るい屋内から屋外に出てすぐには、目が暗さに慣れていません。何分か屋外にいて目を慣らしてから、やっと星空や流星などの暗いものが見えるようになります。家から出て流星が見えないからといってすぐにあきらめてしまわずに、しばらく目が慣れるまで待つことも必要です。
冬の夜に何十分も屋外でじっとしていることはなかなかないかもしれません。寒さには十分注意してください。普段夜外出するときより厚着をしたほうがよいのではないでしょうか。カイロなどを使うのもよいかもしれません。