メインテーマ「天文学と望遠鏡の400年」に関連した講演会が開かれます。
家 正則 国立天文台、総合研究大学院大学 教授
すばる望遠鏡で観測をしている私たちは、その距離約129億光年の最も遠い銀河を発見した世界記録を持っています。この銀河の光は129億年かけて地球に届きました。つまり、私たちが見ているのは、約137億年前に起こったビッグバンからわずか8億年後の幼い銀河の姿です。このような観測から、宇宙の暗黒時代の終わりが見えてきました。もう一つの大きな観測テーマは、太陽系外の惑星探しです。これらの研究の最先端を、画像を中心に分かりやすくお話します。
宇宙を見る天体望遠鏡はさらに進化していきます。私たちが開発したレーザーガイド補償光学装置という「ハイテク眼鏡」は、すばる望遠鏡の視力を10倍に向上させました。また、10年後には直径30mの鏡を持つ超大型望遠鏡を作りたいと奮闘しています。これらの驚きの新技術や、関連する天文学者の努力と失敗について、エピソードを交えながら、お話します。
石黒正人 国立天文台 名誉教授
今年は、ガリレオが光の望遠鏡で宇宙を観測し始めてから400年になりますが、電波望遠鏡が世の中に現れてから、まだ70年くらいしか経っていません。そもそも、1931年にカール・ジャンスキーが、偶然に宇宙からの電波を発見したのも、ヘルツが電波の存在を実験的に証明してから、わずか40年くらい後のことです。その後、極限性能を目指した技術開発の努力の結果、電波望遠鏡は目覚しい進化をとげ、現代の天文学の中でゆるぎない地位を確立しています。
本講演では、電波による宇宙観測の特徴、電波望遠鏡の進化とそれがもたらした天文学上の成果、国際共同でチリに建設中のALMA(アルマ)の状況や将来の計画についてお話します。