「宇宙の始まりから私たちに至る138億年の長い道」
田中 培生(東京大学 准教授)
21世紀に入り、「宇宙における生命の探査」が、天文学者の主要な研究テーマのみならず、多くの人々にとっても科学的関心の的となっています。特に、太陽系外(地球型)惑星の発見に向けての観測が大きく進展しています。さらに、46億年の地球の歴史における、生命の誕生および進化についての研究も新しい段階に入っています。
一方、宇宙における私たちのような知的生命の存在については、宇宙の138億年という長い道のりのすべてが関係してきます。生命の誕生・進化に影響する本質的な要素は、次の3つです。
(1) 宇宙の始まりと宇宙を支配している物理量、
(2) 星の形成と進化が果たす役割、つまり、大質量星および中小質量星の果たす役割、
(3) 生命の誕生と進化に直接影響する惑星の環境。
今日は、その全体を概観した上で、特に、生命の誕生における「大質量星の役割」と、未だ謎の多いその形成と進化についてお話しします。
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- 会場
- 東京大学天文学教育研究センター 1階 講義室