三鷹・星と宇宙の日にはたくさんのイベントがあり、どれに参加するか迷うかも知れません。
そんな方へ、これだけは外せないというおすすめのイベントを紹介します。
講演会。天文学者が語る研究の最前線。
国立天文台
太陽が犯人?
常田 佐久
国立天文台/総合研究大学院大学 教授
最近、「太陽に異変発生?」という新聞記事をよく見かけます。実際「ひので」の観測データを毎日眺めていると、太陽活動は従来になく低調であると感じますし、黒点が少ないなど従来見なれない観測データが集積しつつあるのも事実です。太陽は本当に異常な状態なのでしょうか? 実は、過去六千年に太陽から黒点がなくなる現象は何度も発生しており、そのような時は地球がやや寒冷化していた兆候があるのです。
さらに遠い昔の今から約35億年前、地球に生命の誕生したころ、気温は現在よりやや高かったと言われています。一方、当時の太陽は現在の明るさの75%程度しかなく、地球は厚い氷で覆われていたはずで、大きな謎となっています。太陽は現在46億歳。太陽の誕生から現在まで46億年の太陽史と生命の誕生・地球環境の関係について考えてみたいと思います。
探査機が明らかにする「月」世界:
「かぐや」から将来へ
佐々木 晶
国立天文台/総合研究大学院大学 教授
夜空に明るく輝く月。月は地球にいつも同じ面「表」を向けているため裏側を直接観察することはできません。
1959年にソ連のルナ3号がはじめて月の裏側を観測してから、表と裏の違いが長い間、月の謎でした。月探査機「かぐや」では、子衛星の「おきな」と「おうな」をつかい、月の裏側の重力を世界ではじめて明らかにしました。表面だけではなく、地殻の構造など月の内部の様子も、表と裏では異なっていました。また、各国の探査により月面に水が存在することが明らかになっています。
今、月の科学の世界がさらに面白くなっています。日本では、月面の地質探査や内部構造探査を行うために、SELENE-2という計画を進めています。
東京大学 天文学教育研究センター
- 10月23日 12時から12時40分
- 天文学教育研究センター1階
赤外線で探る大質量星の姿
田中 培生
東京大学 准教授
ビッグバンによって宇宙が始まってから137億年。ガスが集まって銀河が生まれ、その中では長きにわたって星が生まれては死に、そして新たな星が生まれています。古代ギリシャのさらに昔から、人々は、夜空の星々に民族の祖先や神々の物語をなぞらえてきました。ガリレオの自作望遠鏡による観測から400年を経た21世紀、観測技術は飛躍的な進歩を遂げ、私たちは、X線、紫外線、可視光から、赤外線、電波にいたる様々な“光”を駆使して広大な宇宙を調べることができるようになってきました。
その中でも、夜空に輝く星たちの一生、誕生から最期までの進化が明らかになってきています。とくに、生涯の終盤で大量のガスを吹き出して劇的にその姿を変え、ついには超新星爆発を起こして一生を終えるという、ドラマティックな生涯をおくる大質量星の姿について、最新の赤外線スペクトル観測の結果をもとにお話しします。
初公開!太陽塔望遠鏡
天文情報センター アーカイブ室が整備を進めている太陽塔望遠鏡。
通常は外観のみの見学ですが、一日限りで内部を初めて公開します。
公開内容
- 公開時間
- 10月23日 10時から16時
- 所要時間
- 10分から15分程度
- 公開形式
- 10から15人程度を1グループとするツアー形式。ツアー案内人が案内・解説を行います。
注意
- 安全を考慮して塔部分・ドームにはのぼれませんので、あらかじめご了承ください。
- 当日の天候、参加人数、その他の要因によって内容が変わる可能性があります。
太陽塔望遠鏡について
太陽塔望遠鏡は、東京帝国大学営繕課が設計、中村工務所が施工し、昭和5年(1930年)に完成しました。構造は鉄筋コンクリート造、地上5階、地下1階(この部分のみ大正15年完成)建てです。高さ約20mの天辺のドームから入った光は、直径60cmシーロスタット(平面鏡2枚)に反射して垂直に取り込まれ、北側に続く半地下の大暗室で七色のスペクトルに分けられる構造になっています。塔全体が望遠鏡の筒の役割を果たしていることから「塔望遠鏡」と呼ばれています。
建物の形態が、ベルリン市郊外にあったポツダム天体物理観測所(アインシュタイン塔)と同じ研究目的で造られたことから「アインシュタイン塔」とも呼ばれています。
1998年7月に「国登録有形文化財」に指定されました。
いざ!観測へ!アルマ望遠鏡
完成して間もないALMA棟を初公開!
ALMA棟内部ではミニ講演会、パネル展示、映像上映等を行い、ALMA計画や電波天文学に関してお伝えします。
ALMA棟の外では、中華鍋で電波を受信する実験を行います。
アルマ望遠鏡計画とは、東アジア(日本が主導)・北米・ヨーロッパ・チリの諸国が協力して進めている国際プロジェクトです。直径12mの高精度アンテナ50台と「ACAシステム」と呼ばれる高精度アンテナ16台を、チリ・アンデス山中の標高5000mの高原に設置し、ひとつの超高性能な電波望遠鏡として運用する画期的な計画です。