新天体の仮符号:彗星
各種新天体には、正式な番号や名称が付く前に「仮符号」(かりふごう)という符号が付けられるものがあります。本ページでは彗星の仮符号について説明します。
彗星の仮符号
例:C/2008 A1
「C/」(または「P/」など)+「発見(検出)年」+「スペース」+「発見(検出)月を表すアルファベット大文字(A〜Y)」+「発見順の数字(1〜)」で表されます。
各記号の意味は以下の通りです。
- 「C/」などの接頭語:
発見直後には、彗星(comet)を表す「C/」が接頭語として付加されます。
なお、公転周期が200年以内であることが確定した場合や、200年以上でも2回以上の近日点通過時の観測がある場合(例えば、過去に観測された彗星と同じであると確定した場合等)には、短周期彗星である「P/」が接頭語として用いられます。また、短周期彗星であってもすでに消滅している場合には「D/」が、ごく短期間の観測しかできず軌道が不確定な場合には「X/」が用いられます。
また、短周期彗星番号が確定した場合には、番号名を含めて「1P/」「3D/」等が用いられます。
- 発見年(検出年):
彗星が発見(検出)された西暦年を使用します。
紀元前については、マイナス年の表記を用います(紀元前1年=西暦0年、紀元前2年=西暦-1年)。
例:1P/-239 K1
- 発見(検出)月を示すアルファベット:
月の前半(1〜15日)、月の後半(16日以降)と区別して、1月前半のAから12月後半のYまで(Iを除く)が使用されます。
例:C/1995 O1 : 「O」なので1995年「7月後半」に発見
記号と月(前半・後半)の対照表は以下の通り。
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
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前半(1〜15日) | A | C | E | G | J | L | N | P | R | T | V | X |
後半(16日〜) | B | D | F | H | K | M | O | Q | S | U | W | Y |
- 発見(検出)順を示す数字:
各月の期間内(前半・後半別)に発見された順番を1から数字で表します。
例:C/1995 O1 : 「1」なので1995年7月後半の「1」番目に発見された彗星
小惑星として発見された後、彗星活動が認められたような場合には、接頭語に続いて「小惑星の仮符号」がそのまま用いられる場合があります。
彗星核が分裂した場合には、それぞれに「-A」「-B」のようにアルファベットを最後に付加します。
この仮符号の命名法は、1995年より採用されました。ただし現在は、1994年以前についてもさかのぼって、新しい命名法によって付けられた仮符号が用いられています。
以下、おもな仮符号の例です。
- C/2008 A1 : 2008年1月前半の1番目に発見された彗星
- C/2007 K21 : 2007年5月後半の21番目に発見された彗星
(期間中の発見数が2桁になると、仮符号の最後の数字も2桁になる)
- P/2006 W4 : 2006年の11月後半の4番目に発見された彗星
(1993年に発見された彗星と同じ彗星だと判明したため、短周期彗星の「P/」が付加されている)
- D/1993 F2 : 1993年3月後半の2番目に発見された彗星
(短周期彗星だったが、1994年7月に木星と衝突して消滅したため「D/」が付加されている)
- P/2007 VQ11 : 2007年に小惑星として発見されたが、その後彗星活動がわかった彗星。
(短周期彗星だとわかったため「P/」が付加され、小惑星の仮符号「2007 VQ11」がそのまま使用されている)
- 1P/-239 K1 : -239年(紀元前240年)の5月後半の1番目に発見された彗星。
(短周期彗星番号の付いた「ハレー彗星」の過去の出現で「1P/」が付加されている)
- X/1106 C1 : 1106年2月前半の1番目に発見された彗星
(記録が少なく、軌道が確定していないため「X/」が付加されている)
- C/2001 A2-B : 2001年1月前半の2番目に発見された彗星の分裂核B
(添え字として「-B」が付加されている)
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