今週の一枚

「諳厄利亜航海暦(あんげりあこうかいれき)」

「諳厄利亜航海暦(あんげりあこうかいれき)」

諳厄利亜(あんげりあ)はイングランドのことで、この書は1828年の英国航海暦を訳したものです。しかし当時の日本は英国との直接の交流は無かったため、天文学の用語を訳せるほどに英語の知識があるものはいませんでした。そのため序文や暦解までは訳すことができず、また誤りがあるかもしれないと、渋川景佑(しぶかわ かげすけ)は序文で述べています。

航海暦ですので、内容は天体の位置が主です。序文の中で、英国暦の数字にゲレーンウイク天文台(イギリス・グリニッジ天文台)と江戸の里差(経度差)9時20分を加えると、江戸の値になると記されています。国立天文台で所蔵している「諳厄里亜天学語録」も同じく渋川景佑が著者で、こちらは単語にその訳をつけている、いわば英単語帳です。国内にも、唯一の交流があるオランダ人にも英語をよく理解している人が見つからず、景佑が苦心した様が伺えます。

画像データ

制作年月日1827年(文政10年)
制作者渋川景佑
クレジット所蔵 国立天文台

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