今週の一枚

ある冬の夜の大赤道儀室

ある冬の夜の大赤道儀室

さえわたった冬の夜空で、オリオン座とおうし座が対峙(たいじ)しています。その下でうずくまる、大赤道儀室の大きな丸い影。銅板張りされた木製ドームの中に収められた65センチメートル屈折望遠鏡は、1929年に完成してから1998年に引退するまで、天体の位置測定などの研究観測に従事していました。今は三鷹キャンパスの象徴として建物・望遠鏡ともに静態保存され、こんな良夜にも再び瞳を開くことなく、目覚めのない冬眠を続けています。日中は「天文台歴史館」として公開されており、往時の姿をしのぶことができます。

年ごとに星座を移る木星

ドームの直上にひときわ強く輝く光は、木星です。すぐ左脇には、V字型の星の連なりが特徴的なヒアデス星団、1等星アルデバラン、右側の枝先にはプレアデス星団を認めることができます。この写真が撮影された2013年の冬、木星はおうし座の中を移動していました。65センチメートル屈折望遠鏡が退役した1998年にはみずがめ座の中にいました。約12年で1公転する木星はそれから2回おうし座を横切り、2017年の春をおとめ座の中で迎えようとしています。

文:内藤誠一郎(天文情報センター)

画像データ

撮影日時2013年2月4日
撮影者飯島裕
クレジット国立天文台
二次利用についてこの画像は、研究発表、講演会、学校の授業で利用する場合、許諾なく利用できます。それ以外の場合、事前許諾なしには利用できませんので利用申請をお願いします。特に商用利用の場合は、飯島氏との交渉と写真利用料が必要になることがあります。

ダウンロード

関連リンク