今週の一枚
ダークマターハローの形成・進化(II. 大規模構造の形成)
この映像は、宇宙初期から現在に至るまでのダークマターの分布の進化を可視化したものです。宇宙誕生間もない頃、ダークマターはほぼ一様に分布していました。しかし、わずかに密度の大きい部分が重力によって周りのダークマターを引き寄せ、小さいハロー(塊)を形成します。そしてそれらが合体してより大きなダークマターハローへと進化し、その中でガスが集まって銀河が誕生します。さらに銀河同士が集まって銀河団が形成され、網目状に分布する銀河でつながっています。これを「宇宙の大規模構造」といいます。
大規模シミュレーションで探る宇宙の構造形成史
このシミュレーションでは、宇宙初期のダークマター密度揺らぎを約86億の粒子で表現し、重力相互作用による現在までの進化を追いました。この計算で得られたダークマターの分布をもとに、星や銀河の材料である物質(バリオン)の進化を計算することで、銀河や活動銀河核の分布、進化、統計的性質をこれまでにない広い領域で予測できるようになりました。こうして得られたシミュレーション結果は、今後すばる望遠鏡などによって行われる広視野観測と比較するためのデータベースとして用いられます。
映像データ
使用計算機 | Cray XC30「アテルイ」 |
---|---|
計算に使用した粒子数 | 20483(約86億)粒子 |
現象の時間スケール | 138億年 |
現象の空間スケール | 約210メガパーセク |
計算を行った研究者 | 石山智明(千葉大学、計算実行時は筑波大学) |
クレジット | 石山智明、中山弘敬、国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト |
関連リンク
- 4D2Uコンテンツ「ダークマターハローの形成・進化(II. 大規模構造の形成)」ダウンロードページ
- スーパーコンピュータによる、宇宙初期から現在にいたる世界最大規模のダークマターシミュレーション(CfCA プレスリリース)
- 国立天文台4次元デジタル宇宙プロジェクト
注:この映像をご利用の際には、4D2Uプロジェクトページ「ご利用上の注意」をご覧ください