日韓合同電波望遠鏡群で探る巨大ブラックホールジェット~見えてきた「超光速噴出流」の現場~

国立天文台水沢VLBI観測所の秦和弘助教が率いる国際研究チームは、活動銀河M87の中心に存在する巨大ブラックホールから噴出する高エネルギープラズマ「ジェット」の運動を、「日韓合同VLBI観測網」を用いてかつてないほど高い頻度で詳しく観測を行いました。日韓合同VLBI観測網とは、日本と韓国に跨る計7台の電波望遠鏡を合成することで、高い解像度と感度を実現する巨大な望遠鏡を仮想的に形成する日韓共同プロジェクトです。その結果、ジェットの速度が見かけ上、光の速度を超える「超光速運動」を、ブラックホールから噴出後わずか5光年に満たない地点において検出することに成功しました。本結果はこれまで考えられていたよりも10倍以上もブラックホールに近い位置でジェットが既に極めて大きな速度に加速されていることを示唆しており、ブラックホールの強い重力を振り切りいかにしてジェットが噴出されるのか、という長年の謎を解明する重要な手がかりになると期待されます。

日韓合同VLBI観測網(The KVN and VERA Array, 通称KaVA)の配置を地図上で示すとともに、仮想の電波望遠鏡で表している
日韓合同VLBI観測網(The KVN and VERA Array, 通称KaVA)の配置を地図上で示すとともに、仮想の電波望遠鏡で表している。 下部は、各観測局の電波望遠鏡。左からKVNのヨンセイ局(ソウル)、ウルサン局、タムナ局(済州)、VERA水沢局、入来局、小笠原局、石垣局。背景は観測対象である活動銀河M87の巨大ブラックホールから噴出するジェットの想像図。 オリジナルサイズ(1.57MB)

本研究成果は2016年3月14日から首都大学東京にて行われる日本天文学会春季年会にて発表されます。
S11a 日韓合同VLBI観測網KaVAによるM87ジェット加速領域の高頻度・高解像度モニター(秦和弘ほか、2016年3月15日発表)

詳しくは日韓合同電波望遠鏡群で探る巨大ブラックホールジェット~見えてきた「超光速噴出流」の現場~(国立天文台 水沢)をご覧ください。

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