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落陽が照らす秋の絨毯に、子午環の影が伸びる

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落陽が照らす秋の絨毯に、子午環の影が伸びる

秋分を過ぎ、秋の深まりとともに、落日は真西から南寄りへと日に日に動いて冬至に最も南に至ります。古来より、太陽をはじめとする天体の運行は、人類にとって時刻と方位を読み取る指標となってきました。すっかり傾いた陽光に、半円形のシルエットとなって浮かび上がっている建物は「ゴーチェ子午環室」。標準時の決定や測地の基準としても意味のある、恒星の精密位置観測に利用されました。木立の多い国立天文台三鷹キャンパスの地面を見ると、緑の草の間にこずえを離れた落葉が混ざり合い、秋色に織り上げられています。

ゴーチェ子午環室

ゴーチェ子午環室は1924年(大正13年)に建設されました。特徴的な半円形のドームには開閉機構があり、南北方向にスリットを開くことで天体の子午線通過を観測することができます。内部に据えられているのは1903年(明治36年)フランスのゴーチェ社製の子午環。三鷹で自動光電子午環が稼働しはじめる1983年(昭和58年)まで、眼視による月、惑星、恒星の位置観測を続けていました。旧式化していた装置ながら1992年(平成4年)から10年間は観測に復帰、当時最新のCCDマクロメータを搭載して、クエーサーなどの微光天体の精密位置観測に従事しました。位置天文学の観測の主流が電波VLBIや人工衛星に移るまで、長い間精密な宇宙地図作りを支えてきたのです。

2014年にゴーチェ子午環室は国の登録有形文化財となりました。内部の様子を見学することができますので、ぜひお越しください。

文:内藤誠一郎(天文情報センター)

画像データ

撮影日時2012年11月25日
撮影者飯島裕
クレジット国立天文台
二次利用についてこの画像は、研究発表、講演会、学校の授業で利用する場合、許諾なく利用できます。それ以外の場合、事前許諾なしには利用できませんので利用申請をお願いします。特に商用利用の場合は、飯島氏との交渉と写真利用料が必要になることがあります。

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